朝の通勤途中で、TBSラジオを聞いていたら、「人権Today」という番組でNPO法人「ふるさとの会」の理事・滝脇憲さんのインタビューが流れた。学生時代と変わらない語り口で、在宅介護の理念を語っていた。滝脇さんは、立派な施設介護でもなく、手厚い専門家による介護でもなく、「貧乏くさい」手作りの介護にあり方こそが、利用者の気兼ねない生活に必要なのだと述べる。
以下、TBSラジオのWebからの引用です。
放送日:2011年12月24日
『介護が必要なひとり暮らしの高齢者』を支える「ある活動」をTBSラジオの清水栄志ディレクターが取材しました。
2005年に行われた国勢調査によりますとひとり暮らし世帯のほぼ4人に1人が65歳以上の高齢者です。そして、国立社会保障・人口問題研究所は2030年にはひとり暮らしの世帯の4割が高齢者になると推計しています。こうした見通しの中、『ひとり暮らしで介護が必要な高齢者』を支えるという試みを続けている団体があります。
NPO法人「ふるさとの会」の理事・滝脇憲さんはこう仰います。
【滝脇さん】
「高齢になっていった時に、『要介護になったら介護施設に行ったら良いじゃないか』という向きもあるが、施設に入るとどうしても遠方になってしまう。年をとって縁もゆかりもないところに行くよりも自分にとってなじみの地域で暮らしたいと思う人が多かったのでその想いをなんとか実現できるように手伝いたい。」
『慣れないところで暮らす』よりは『慣れ親しんだところで暮らす』方が良いという考え方なんです。この「ふるさとの会」は低所得者を対象に活動を続けていてこれまでホームレスや精神障害者を受け入れる取り組みなどをしてきたんですが、そのノウハウを活かして10数年前から介護の必要なひとり暮らしの高齢者」をサポートする取り組みをしています。
先ほどの滝脇さんはこう話しています。
【滝脇さん】
「ごはんを食べていてむせてしまったらさすってあげるとか、ごはん食べ終わったら薬飲んだ?と聞いてあげたり、安全な生活を見守ってあげたりして、家族に変わるサポートが出来れば、代わりにしてあげる事が出来るのではないか。」
『介護は大変』と構えるのでなく、家族と同じように手伝うことができれば一人暮らしをすることはできるんじゃないか、ということなんです。実際に支援を受けている方に話をききました。
【支援を受けている方】
僕は今、肺気腫で介護を受けているがそれまでは施設に居て動けたけど、今は全然動けなくて頼りは『ふるさとさん』だけだった。ちょっと遠いところに買い物に行くとか、銀行に一緒行ってもらっている。体が丈夫なら一人暮らししてもいいけど、体が動かなくなってしまったから、助かっている。
『ちょっと散歩に行きたい』とか『買い物に行きたい』といったことはヘルパーさんや介護士さんには、契約上の問題や金銭面などの問題があって頼めないんです。お金の負担は支援の受け方でも様々ですが、一番多い人でも月に1,000円。行政からの支援を受けているので比較的軽い負担で済んでいます。今年10月現在で757人がサポートを受けていて「ふるさとの会」のスタッフ1人が8人くらい手助けしている計算になります。
今後の課題について滝脇はこう話しています。
【滝脇さん】
「一民間非営利団体がやっている事というのは、困っている人に知って頂く事が役所のようにいかないところがあるので、公的な活動であるという側面を持たせていく事が必要ではないかと思う。」
『もっと活動を広く知らせないといけない』ということなんです。
支援を受けている男性も、役所からの話でこの「ふるさとの会の試み」を知ったと話していました。「どう知らせるか」というのも大切ですね。日常生活をなるべく変えないようにしてどうサポートするか。
この「在宅介護」は大きな問題であり、課題がまだまだあると仰っていました。
特定非営利活動法人自立支援センターふるさとの会
http://www.hurusatonokai.jp/