日別アーカイブ: 2010年8月30日

『サブプライム後に何が起きているのか』

春山昇華『サブプライム後に何が起きているのか』(宝島新書 2008)を読む。
2007年夏の金融ショックから半年あまりの変化を分かりやすく分析している。格付け機関は「金メッキ」であるとか、「言葉は踊れど策はなしの東京G7」とか、分かりやすい喩えが多用されており、「無」から「有」を生み出す金融バブルの仕組みの大枠を掴むことができた。
著者は日本はすでにものづくりに長けた工業国ではないとの分析から次のように述べる。

今後は知恵とお金を上手に結合することが重要になってくることは間違いないだろう。そうした新しいお金なら、資源や人口にハンデのある日本だってお金+知恵=人類の最終兵器なのだ。日本が復活し成長するには、社会を引っ張るリスク・テイク族を増やさなければならない。失敗を恐れず、何度もチャレンジすることを後押しする社会になるべきなのだ。

『はつ恋』

ツルゲーネフ『はつ恋』(新潮文庫 1952)を読む。
短い作品だったので一気に読んだ。「はつ恋」というタイトルから連想するような初々しい青春物語ではない。タイトルにもなっている主人公の年上の女性に憧れる恋心よりも、太宰治の『斜陽』に似た、主人公の青年の社会から取り残された没落貴族の虚無的な生き方の方が印象的であった。