日別アーカイブ: 2010年8月11日

『アサッテの人』

第137回芥川賞受賞作、諏訪哲史『アサッテの人』(講談社 2007)を読む。
青年期にありがちな「世間一般の幸せ」を否定しようとするあまり、不可解な言葉を発し、行方不明になってしまった叔父に関する、一作家によるルポルタージュという形式で小説は展開される。
あらゆる芸術や文化-特にお笑いなど-は、定型化されることをおそれ、独創性を重視するのだが、そうした「作為」すら定型化されてしまう悲哀がテーマとなっている。
いかにも新人の純文学の登竜門である(であった?)芥川賞らしい作品であった。