月別アーカイブ: 2010年1月

パンフレット研究:青山学院大学

1874年に、ドーラ・E・スクーンメーカー女史によって開校された「女子小学校」などキリスト教の伝導という基盤を持つ学校が合同し、設立された歴史ある学校である。
文学部、経済学部、法学部、経営学部、国際政治経済学部、総合文化政策学部、理工学部、社会情報学部、文学部第二部の9学部に加え、09年より新たに教育学科と心理学科を擁する教育人間科学部が設置されている。

少子化が際立ってきた2000年以降、キャンパス再編や学部再編を毎年のように進めているが、しかし、残念ながらそうした積極的な再編が裏目に出ているのが現状である。小田急線の本厚木駅からバスで30分の山奥のキャンパスを廃止して相模原に移転したが、都心回帰の流れに乗れず苦戦を強いられている。

また、総合文化政策学部、社会情報学部など文理融合タイプの学部を新設してみたものの受験生にアピールできず、特に社会情報学部は受験倍率2倍に留まっている。また、どんどん学部・学科を増やしたために、既存の学科のアイデンティティが薄まっている。2006年に開設された、いかにも青学らしい国際政治経済学部国際コミュニケーション学科も新たに受験生を呼ぶことはできず、他学部の受験生が流れただけで、受験生の減少に歯止めが掛かっていない。
ここ2・3年の古文の入試は受験生を馬鹿にしたような問題で、あと数年で古文が入試から外されるのではないだろうか。

このデフレをチャンスと考えて、借金を覚悟で青山の隣接地を買収し、文系は都心オールインワンキャンパスを実現するくらいの再編を進めない限り、じりじりと後退していくことは免れないであろう。

『春、バーニーズで』

吉田修一『春、バーニーズで』(文藝春秋 2004)を読む。
雑誌『文學界』に連載された短編小説が収められている。息子と母親がいる女性と再婚した30代半ばの男の心の機微を描く。小説というよりは、散文詩のような内容で、とりとめもない会話や風景、そして不安定な主人公の心模様が淡々と綴られる。
会社も家庭も大切にしてきた30代半ばの主人公が、ある日突然会社を連絡なしにサボり、思い立って日光まで車を走らせる『パーキングエリア』という作品が妙に心に残った。

パンフレット研究:美容専門学校

職場で取り寄せた評判のある美容専門学校4校のパンフレットを見比べてみた。
理容美容専門学校は2年間で2000時間の授業を行うことが決められている。そしてその内の1400時間はどこの学校でも「関係法規、衛生管理、美容保健、美容の物理・化学、美容文化論、美容技術理論、運営管理、実習」の必修科目を学ばなくてはならない。そして残りの600時間は各美容学校が独自に定める科目が充てられる。この600時間をどう使うかで各学校の個性が表れる。
私の主観的な解釈も含めて、それぞれの学校の特徴をまとめてみたい。


国際理容美容専門学校

漢字一字で表すと「躾」or「実」
1955年に設立され、山手線日暮里の駅から近い。
パンフレットにも「躾教育」と謳っているほど人間教育に力を注ぐ。美容科、夜間の美容科Ⅱ部、4つの学校の中では唯一の理容科、エステティシャン養成のビジネス美容科、また高校卒業同等資格と国家試験受験資格の両方が得られる美容高等科、通信課程の5つのコースがある。実習中の白衣や研修でのスーツ姿など、整容面での指導が行き届いている。また美容高等科では普通科目の授業もあり、大学や短大への進学の道も拓かれている。生徒の様子もきちっとしており、普通科高校に興味のない中学生の選択肢の一つになるであろう。


日本美容専門学校

漢字一字で表すと「美」or「芸」
1954年に設立され、山手線高田馬場駅からも近い。
美容師オンリーの学校で、昼間部専門科、夜間部専門科、通信科の3課程編成に加えて専攻科が置かれる。選択必修科目の中に、英語や美学芸術、クリエイティブワークなどの科目が置かれ、また、芸術鑑賞教室や校内コンテスト、卒業イベントなど、美容を一つの芸術と捉えており、美大のようなイメージの学校である。2008年にINFAスクールというエステティシャン養成学校も開学している。


資生堂美容技術専門学校

漢字一字で表すと「社」「業」
埼京線十条駅から徒歩10分の場所にあり、最新の設備と資生堂完全バックアップの学習環境が特徴である。
美容師科の中に、美容師オンリーのヘアスタイリストコースと、メーキャップやネールなども幅広く学ぶビューティースペシャリストコースの2つのコースがある。両方とも美容師国家受験資格が得られる。
また美容部員養成のビューティーコンサルタント科が置かれている。資生堂の全面バックアップがあり、およそ2割の卒業生が資生堂グループの企業に就職している。


住田美容専門学校

漢字一字で表すと「習」or「匠」
1949年設立の東京女子文化学院が母体となっており、渋谷駅から徒歩2分の至便な場所にある。
一学年120名で、少人数教育によって美容技術の習得を目指す。美容師免許専門コースと、美容師免許メイク&ネイルコースと通信課程(夜間サポートコース)の3コースが設置されている。また選択科目も美容やメイクに関することのみであり、職人養成的な側面が強い学校である。
また、美容学校選びのパンフレットも同封されている。資料請求や、学校見学、体験入学から、費用の計算方法など、美容学校だけでなく、専門学校の選び方全ての高校生に通じることが書いてあり、大変良くできている。
「あとがき」の一部を抜き出してみたい。

 そして一番重要なことは「この活動を通して少しプロフェッショナルに近づく」ことができるという事です。「プロフェッショナル」というのは「仕事に熱心に打ち込んで、良い結果を出している人」に捧げられる名称です。「美容のプロフェッショナル」を目指すのであれば、その前にまず、「美容学校選びのプロフェッショナル」となれるよう目指してください。「熱心に活動」し、「自分にとってのベストの学校」を探し出して、「希望通り入学する」。「進路選択」において、自分として「満足行く結果が出せた!」という自信は、美容師になるという次へのステップへの大きな力となるので す。
良い結果が出たとき、それまでの活動はきっと「楽しい思い出」、「充実した日々」になると思います。

パンフレット研究:日本外国語専門学校

日本外国語専門学校のパンフレットをぱらぱらと眺める。
全てのページがそのままコピーしてポスターになってしまうような作りで、学校の パンフレットというよりは、旅行会社のパンフレットを見ているような錯覚を覚える。英語の専門学校という枠を越えて、キャビンアテンダント養成や、海外の大学への留学、国内のワンランク上の大学3年次への編入など多岐にわたる学科が用意されている。
高田馬場駅から徒歩3分の便利な場所にあり、目的意識をしっかりと持っている学生には使い勝手のある学校であろう。特に資格が得られる訳ではないので、漠然と進学する者にとっては金と時間の無駄遣いになってしまであろう。

パンフレット研究:武蔵大学

明治・大正期の実業家根津嘉一郎によって創設された旧制武蔵高等学校を前身として、1949年に設立された比較的新しい大学である。おしゃれなイメージの東京4大学(学習院、成蹊、成城)の一角を占めている。しかし、ここ最近、学習院が通称「GMARCH」に組み入れられ、成蹊や成城は独自の位置を確保しており、武蔵大学だけ存在感が薄くなりつつある。また似た名前の武蔵野大学が破竹の勢いで拡張路線を突っ走っているせいであろうか。

経済学科、経営学科、金融学科からなる経済学部、英米比較文化学科、ヨーロッパ比較文化学科、日本・東アジア比較文化学科からなる人文学部、そして、社会学科とメディア社会学科からなる社会学部の3学部で構成されている。
付属高校が進学校である場合、大学は狙いのはっきりしない印象になりがちである。武蔵大学は他大学との併願校になりがちであり、また附属高校の受け皿的な経緯もあり、門戸を広くし幅広く教養を修めるという雰囲気が強い。

しかし、入試倍率が5倍近い難関校なのでパンフレットでは徒に資格取得や海外留学、就職支援は謳われていない。「ゼミがない大学生活なんて想像できない」というキャッチコピーが冒頭を飾っている。1年次から履修モデルを設定され、少人数ゼミが置かれている。他大との差別化もあってか、面倒見の良い大学が売りになっている。