月別アーカイブ: 2009年10月

『あと1億円生涯収入を増やす本』

森永卓郎・加治将一『あと1億円生涯収入を増やす本』(小学館 2004)を読む。
雑誌『SAPIO』に連載された、対談『デフレに克つ! マネーサバイバル講座』に加筆、再構成されたものである。
「負け組も頭を使って不動産投資で勝負しろ!」「ハッピーリタイアメント目指し、趣味と貯蓄を準備しよう」「貧乏人は固定金利を選べ!」など、金融や投資 にまつわる雑談の域を超えるものではない。そこそこの収入のある雑誌『SAPIO』の読者層であるサラリーマンを対象としているためか、金持ちを揶揄する 一方で、貧困層に陥る恐怖を説く。対談内容とタイトルがかけ離れており、あまり面白い内容ではなかった。

『デキる人は「喋り」が凄い:勝つ言葉、負ける言葉』

日本語力向上会議『デキる人は「喋り」が凄い:勝つ言葉、負ける言葉』(角川oneテーマ21 2001)を読む。
タイトルを見る限り、プレゼンなどで効果を発揮する「凄い」内容を想像させるが、中身はビジネスの場で使われる諺や故事成語、敬語のルールなどの解説本で ある。「小春日和」や「情けは人のためならず」「蛙の子は蛙」などの諺の意味に始まり、「弱冠」「試金石」「口汚し」などの誤解を招きやすい用語の使い 方、電話や冠婚葬祭での言葉のマナーなど、その内容は多岐にわたる。「こけら落とし」や「餅は餅屋」など、私自身が勘違いして覚えていた諺もあり、少した めになった気がする。

『カイジ』

kaiji_movie

深夜のレイトショーを狙って、佐藤東弥監督、藤原竜也・香川照之主演映画『カイジ』(2009 東宝)をララガーデンへ観に行った。
先日観た映画『スラムドッグ$ミリオネア』で描かれたギャンブルでしか貧困から脱出できない「格差社会」を背景として、中学生の頃に夢中になって読んだ 『魁!!男塾』(宮下あきら原作)のようなどたばた劇が展開される。漫画の原作があるようだが、展開が早く、舞台を観ているような迫真に迫る演技で最後まで飽きることがなかった。

パンフレット研究:実践女子大学

実践女子大学のパンフレットを読む。
和洋女子大学と同じく歴史ある女子大である。校名の「実践」は、学問を実際に役立て実行するという意で、「良妻賢母」を主とした女学校が多い中で、「実学主義」を徹底させた革新的な学校として出発している。
1899年創立の実践女学校を起源とし、1925年に実践女子専門学校となり、49年に新制の4年生大学に移行し、85年に渋谷区から現在地の日野市に全面移転が完了している。

現在では国文学科、英文学科、美学美術史学科からなる文学部と、管理栄養士専攻を含んだ食生活科学科、生活環境学科、幼児保育専攻を含んだ生活文化学科からなる生活科学部、人間社会学部の3学部と短期大学からなる。パンフレットを読む限り、和洋女子大と比べると見劣りするというのが第一印象である。「とりあえず」社会学や経済学、人間関係の科目を集めましたというコンビニ的な人間社会学科や、生活科学部生活文化専攻、高校の家庭科の授業の延長のような生活環境学科、栄養士の資格すらとれない食物科学専攻、「とりあえず」上代から近現代までの時代の専門家を集めただけの国文科などなど、食生活科学科管理栄養士専攻以外は、伝統があるだけの凡庸な女子大学と何ら変わりはない。日野駅から歩いて12分の便利な場所にあり、大学の雰囲気はいいと聞いているので、近所に住んでいれば「とりあえず」オススメな大学なのであろう。