月別アーカイブ: 2007年12月

『夫婦:いとしい時間』

しょうのかずみ『夫婦:いとしい時間』(ポプラ社 2002)を読む。
両親に捨てられ祖父母に育てられた作者が、夫や息子、娘に囲まれた平凡だが幸福な生活の基盤ともなる、愛情やら自分らしさ、仕事の成否などを見つめ直す。どこにでもいる専業主婦のエッセーなのだが、自分の言葉で等身大の自分を語っており、ついつい引き込まれ一気に読んでしまった。

しょうのかずみさん公式サイト「へびのしどろもどろ」

『ボーン・アルティメンタム』

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マット・デイモン主演『ボーン・アルティメンタム』(米 2006)を観た。
今日も子どもをお風呂に入れてから、ララガーデンのユナイテッドシネマへすっ飛んだのだが、車で10分のところに映画館があるというのは未だに夢のようである。映画館のすぐ側に住んでみたいというのが中学生の頃の私の夢でもあったので、嬉しい限りである。

今日も特に何を見ると決めていたわけではなく、ネットで映画館の本日のスケジュール表を見てもあまり面白そうなものはなかったので、いつも映画を選ぶ際に参考にしている「Movie Walker」 というサイトの「見て良かった」というランキングの上位に上げられていた作品をたまたま観に行った次第である。

この『ボーン・アルティメンタム』という作品はシリーズ物で、この作品が3作目の完結編ということであった。しかし、そんなことはつゆ知らずに観たのだが、ストーリーも単純で、主役のマット・デイモンが結構オジサンなのだが恰好良くて、非常にテンポのよいワクワク作品であった。正統派のハリウッドアクション映画といったところか。後半のアクションシーンでは、マット・デイモン演じるジェイソン・ボーンの、アーノルド・シュワルツェネッガーのターミネータばりのあまりの超人的な活躍に少々の違和感を感じたが、最後の最後まで飽きさせない仕掛けが施されている。

エシュロンの恐怖が

埼玉県の障害者雇用の法定雇用率

何気に職場で配られた埼玉高等学校教職員組合の速報ニュースを読んだら、埼玉県の障害者雇用率の改善についての要求の記事が載っていた。
現在、埼玉県の障害者雇用の法定雇用率は全国ワースト2位であり、今回の確定交渉において、それぞれの職種の雇用率を明らかにさせるとともに、他県の状況を調査研究し、雇用率アップのための具体的方策を早急に立てるよう要求したということだ。
やはり、障害者−とりわけ特別な支援が必要な方々−の就労については県が率先して取り組むべきことであり、埼玉県内の企業の雇用率アップの先頭を走るべきである。そのための現状分析はすぐにでも取り組んでほしいところである。

『ALWAYS 続・3丁目の夕日』

先程、子どもをお風呂に入れてから、春日部のララガーデンへ映画を観に行った。9時半にお風呂から出て、慌てて車を飛ばして、9時50分には映画館のシートに座っていた。ふと思いついて映画を観ることが出来るというのは最上の悦びである。文庫本片手に思いつくままに映画を観るという、子どもが生まれる前の自分の休日の過ごし方が少しずつ出来るようになって嬉しく思う。

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山崎貴『ALWAYS 続・3丁目の夕日』(東宝 2007)を観に行った。
前作ではサブ的な登場人物であった吉岡秀隆演じる茶川竜之介とその家族を中心として、彼の芥川賞受賞を巡って交錯する暖かい人間模様描く。高度経済成長のシンボルである東京タワーやまだ完成していない首都高速が、『アルプスの少女ハイジ』の「アルムのもみの木」のように、明るい将来に向かって努力を続ける人間達を優しく見守り続ける。感動的な音楽と相俟って、涙が半分ほど瞳を濡らしてしまった。
しかし、おそらくはこの続編を活字だけの小説にしても全くつまらない駄作にしかならないであろう。また主役を別の人間が演じても興ざめであろう。この映画は役者吉岡秀隆さんで決まりである。彼の涙が観客の心を打ち続ける。彼のぼさぼさ髪に顔をくしゃくしゃにした演技の右に出るものはいないだろう。

□映画『ALWAYS 続・3丁目の夕日』公式ページ□

『野菊の墓』

伊藤左千夫短編集『野菊の墓』(新潮文庫 1955)を読む。
一般に作者の代表作として知られる表題作の『野菊の墓』は、ちょうど今から100年前の1907(明治39)年に発表された作品である。一途に思い続ける彼女が突然の病で死んでしまい、彼女を思う気持ちだけが永遠に主人公の心に残り続けるといった「主観的な、感傷的な、失恋小説」であある。言葉は少し難しいし、保守的な恋愛観がモチーフとなっているが、『セカチュー(世界の中心で、愛をさけぶ)』や今のケータイ小説のような初々しさや爽やかさを感じる作品であった。『現代日本小説大系』(1950)の中で、中野重治氏が「人生に対して激情的な人々によって『野菊の墓』は読み続けられる可能性を持つと私は考える」と述べているように、「純愛」はいつの世も若者にとって大きなテーマとなるのであろう。(ずいぶん老成したものの言い方であるが)