日別アーカイブ: 2006年9月27日

『君ならできる』

ここ最近忙しくて本を読む暇が無い。仕事の予習に普段以上に時間を費やされ、また、家族が病院にかかったりで気持ちが少しばたばたしている。来週は少しゆっくりできそうなので、気持ちを入れ替えたい。

小出義雄『君ならできる』(幻冬舎 2000)を読む。
シドニーオリンピックの直前の2000年9月に、高橋尚子選手や有森裕子選手を育てた名伯楽の著者が、マラソンの監督としての選手育成の秘訣や心構えを述べる。しかし、その内容は単にスポーツの監督の域を越えて、より良く生きるための極意ともなっている。とくに怪我や病気など陸上に付き物のマイナス要因をプラスに置き換えて選手を叱咤激励する姿勢は見習いたいものだ。

高橋がケガをしたり、風邪をひいて焦っているときには、
「悔しいかもしれないが、そうじゃない。もしも土壇場で風邪をひいたりケガなんかしたら、スタートラインにつけない。いま、『せっかく』ここで風邪をひかせてくれた、ありがたく休めということなんだ」
そういってやる。せっかく転んでケガをした。せっかく食中毒を起こした。「せっかく」と思うところから、別の見方が生まれてくる。ここでお腹が痛くなった「せっかく」お腹が痛くなったのだ。ありがたい。そんなふうに理解しておけ、と。「せっかく」という言葉を覚えておきなさい。この言葉は仏教の教えだが、私自身も日々心懸けている。
なにかあったときには、「せっかくこうしてくれた、感謝、感謝」そう思う心が大切なのだ。