少林寺拳法の昇段審査が無事に終わって、早速来月の認定試験2次を意識し、国語学、文学史に関する入門書を読んでいこうと思う。
藤原与一『私たちと日本語』(岩波ジュニア新書 1981)を読み返す。
確か、大学の時に国語学か言語学のレポートで用いた本である。方言研究で有名な著者による中高生向けの国語学の入門書となっている。入門書といっても、表記が簡単なだけで、方言と共通語の違いといった文化論から、「、」や「。」の打ち方などの実践論までその内容は幅広い。現代文読解でも古文の読解でも、「文を下から読みあげる」ことと、「主部→述部」を大別することで正確な読みができると、大学入試における古文読解の鉄則にもさらりと触れている。そして、読者に対する書き方の指南として次のように述べる。これまた簡単に書かれているが、これを実践できる中高生は皆無に近いであろう。
話しても書いても、私たちは、情味、うるおいを出すことにつとめましょう。それもけっして、わざとらしくないものにすべきです。小細工はいりません。技巧にはしることはきんもつです。やたら気どったりしてはなりません。まっ正直に、ひたむきに書いていって、しかも情味がにじむというのが、いちばんよいことです。