夕刊フジ特別取材班『こんな人が「解雇」になる：リストラされた78人の教訓』（角川Oneテーマ21 2001）を読む。
会社から一方的に解雇通知を突きつけられ、自分の全てを否定され落ち込む中年サラリーマンや、自分の能力を過信し会社を離れ、自ら無職という墓穴を掘った技術系サラリーマンの悲哀話などがまとめられている。レールを敷かれたありきたりな人生を捨てて、よりビッグになるか、はたまたどん底の人生を歩むのか、その差は紙一重である現実を実感した。しかも、その成否の境目は個人の判断力よりも時代や社会の流れに拠るところが大きい。

現在の日本では富裕層と貧困層の格差を数値で示す「ジニ係数」が増加の基調にあるときく。最近のテレビでは、セレブだの超大金持ちだの、一部の成功組を持ち上げるバラエティ番組が増えている。証券業界はミニバブルの様相を呈して潤っているようであるが、そうした成功組の踏み台となっている人たちのことを常に考え合わせていかねばならない。