月別アーカイブ: 2005年4月

『きみに読む物語』

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さいたま新都心コクーンへ、ニック・カサヴェテス監督『きみに読む物語』(2004 米)を観に行った。
ハリウッド風の大味な恋愛物語であったが、主演女優のレイチェル・マクアダムスが表情豊かで魅力溢れる女性だったので楽しく観ることが出来た。痴呆症になり、過去や家族の全てを忘れてしまった妻アリーに向かって、夫ノアが二人の出会いから結婚に至るまでの若かりし頃のなれ初めを語るという形でストーリーは展開していく。しかし、その若い頃のストーリーというのが、ハーレクイーンのような偶然と逆境が交錯する形で突き進んでいく恋愛ドラマであった。そのためか、無類のドラマ好きの妻には不評であった。

『日本がわかる思想入門』

長尾剛『日本がわかる思想入門』(講談社OH!文庫 2000)を読む。
学術的な評価は低いのだろうが、聖徳太子から始まって和辻哲郎まで100人近い政治家、思想家、宗教家をあげながら日本の思想の根幹を探ろうとする入門書である。特に江戸幕府に対する反乱として有名な「大塩平八郎の乱」の首謀者である大塩平八郎を陽明学者ならではの行動だと高く評価している点が興味深かった。
しかし、全体的なトーンとしては、日本には天皇という精神的な支柱がいたからこそ、江戸幕府の封建制下においても、天皇の元に平等という「近代的」な哲学が力を持ちえたという流れになっている。いささか疑問の残る展開ではある。