イザベル・コヘット監督脚本『死ぬまでにしたい10のこと』(2003 松竹)を観に行った。
制作者の多くがスペイン人で、俳優はカナダ人やアメリカ人という異色の映画である。余命3ヶ月と診断された23歳の女性の心理を巧みに描いていた。
解説者風に述べるならば、死を前にすることで人間は初めて自らの生の目的を問い始める。しかし将来の夢を夢想する前に17歳で結婚し、親の庭先にあるトレーラーの中で暮らす女性にとって、残された人生でやり残したことは「家族でビーチへ行く」ことや「爪とヘアースタイルを変える」など容易く実現可能なものしかない。男である私はこの映画の主題をそうした広い世界を知ることが出来なかった女性の悲劇であると捉えた。しかし女性の見方はかなり違ったものになるだろう。
『死ぬまでにしたい10のこと』
コメントを残す