永井荷風『墨東綺譚』(新潮文庫 1951)を読む。
大正・昭和初期の吉原周辺の下町の情緒がよく描き出されていた。”天下の”朝日新聞連載の作品なのできわどい(?)描写に欠けるのが少々残念である。2・26事件や満州事変など教科書で習う限りはその後の歴史が証明するようにファシズムの発端たるきわめて政治的な事件であるが、当時の感覚からすると得体の知れないきわめてきな臭い事件として捉えられたことが分かる。
ついでにその永井荷風が参考にしたという樋口一葉『にごりえ・たけくらべ』(新潮文庫1949)を途中まで読んだ。
村上龍の小説のように句点が全くなく、文章が延々と続くので大変読みにくかった。しかし『墨東綺譚』のベースになったということだけは伝わってきた。
『墨東綺譚』
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