森住明弘『環境とつきあう50話』(岩波ジュニア新書 1993)を読む。
牛乳パックや合成洗剤、トイレットペーパーなど身近なものを例に環境問題を中学生にも分かりやすく説明した本である。単に環境面への悪影響をかいつまんで解説するだけでなく、その歴史から環境運動、そして具体的な生活指南まで示している点が良い。
環境問題を自分の生活、仕事に関連づけて考えられるようになるには、なにか一つ自分がこだわるものとともに、上流・下流に旅してみることがたいせつだと、私は考えています。牛乳パックでいえば、原料はどこで取れ、だれが、どこで、どのようにつくり、売り、自分の生活や仕事の場まで来るのだろうと、まず上流に思いをはせるのです。つづいて、使用後、だれが回収してくれ、どこで処理され、最後はどうなるのだろうと、下流に思いをはせ、できたらほんとうに旅してみるのです。すると、最上流と最下流は山や海などの自然で、同じ場所であることが見えてきます。下流は見たくない世界,無関心の世界だったのですが、上流でもあるのです。生活や仕事のつけを下流に押しつけると、かならずつけが上流から還ってくることがよくわかります。
読みながら何となく「消費の疎外化」というキーワードが思い浮かんだ。我々は冷蔵庫でも洗濯機でも商品を消費し、使用する際、その全体像がつかめずに、部分的にしか消費に関われない。そして消費はそのまま浪費になってしまう。