荷宮和子『おたく少女の経済学:コミックマーケットに群がる少女達』(廣済堂出版 1995)を読む。
タイトルにもある通りコミケに集まる若者を社会学的に分析したものだ。例えば、やおい・ジュネ系漫画の増加の背景には、「真摯な恋愛の表現としてのセックス」、「セックスそのものとしてのセックス」を味わうのではなく、笑うためのセックスシーンを求めている女性の増加があると作者は指摘する。従来の男性主体女性客体ののエロ漫画とは一線を画し、「女という被害者意識」からの解放と「男という完全他者の苦しみ」を娯楽として味わえるポストを女性が獲得できるようになった社会状況を背景としている。消費文化の象徴といったパロディ漫画の隆盛に、消費に飽き足らずに創作意識を発揮せんとするおたくのありようを述べる作者の視点は暖かい。
『おたく少女の経済学』
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