藤竹暁『ボキャブラ社会学』(毎日新聞社 1999)を読む。
ギフトや行列、携帯電話、パチンコ、プリペイドカード、レンタルビデオなど日常なこまごまとした物や行為から日本人の心理を読み取ろうとするものである。すぐに読み終えたが、日本人の行動思考パターンを社会心理や時代状況によって類型化させていくもので、新しい発見は少なかった。いやそれとも読者である私自身が精神的に疲れ切ってしまっているのだろうか。
月別アーカイブ: 2002年11月
大学〜『情況』
本日は埼玉県民の日で仕事が休みだったので、卒業以来久しぶりに卒論指導でお世話になった杉野要吉教授の研究室へ出掛けた。
新学生会館建設に伴うキャンパス内からの地下部室撤去などによって大学の様相は大きく変わったが、研究室は変わらなかった。今年で退官とのことで、卒業時のバイク事故の関係で研究室に置きっぱなしになっていた卒業論文を返却してもらった。「1930年代における中野重治の主体性について」とタイトルだけは重めかしいが、実体は引用だらけの継ぎ接ぎ論文である。それでも今読み返してみても当時の悩みと、そして希望が走馬灯のごとくかけめぐる。最近、忙しすぎて自分を忘れている。特に5月以降状態が悪い。そのような中で卒業論文を読み返すということは、自分の原点を再確認する意味でも大切であろう。
それにしても大学のキャンパス内の活気のなさには愕然とした。帰りに神保町に寄った。三省堂で『情況』(情況出版2002年11月号)を購入した。帰りのハンバーグ屋で早速、早大非常勤講糸圭秀実氏と教育学部教授高橋順一氏の対談『大学に知の可能性はあるのか』を読んだ。かなりきつい表現を含んでいるが、かいつまむと次のやりとりに集約されるであろう。
糸圭(すが)秀実氏は「68年以降の大学なんて死につつあるわけですから、いかに延命するかということでしかないわけだが、それを可能にするのは基本的には学生運動しかないと僕は思ってるんですよ。簡単に言うと、教員なり経営側なりが何をやるべきかといったら、学生運動の育成なんだ。学生運動を育成することが、実が大学が役になっていることの証拠なんだよね。学生運動がないっていうことは、大学の矛盾を隠蔽しているということであり、4年ないし6年なりで学生を無責任に放り出すだけであって、社会に対して何の役にも立ってないということなんだ。矛盾があるということを教えることが世のため人のため社会のために大学があるということなのであって、まともな大学経営者は学生運動の育成をちゃんと考えるべきなんです。」と述べ、全共闘運動のあった日東駒専の偏差値が上がり、運動のなかった国士舘や拓大が落とした例を付け加えている。
それに対し、高橋氏は「大学に帰属している学生たちに一体何が必要なのか、大学が何を提供すべきなのかという根幹にかかわると思うんだけども、例えば早稲田にしても、いま大学がものすごく清潔じゃないですか。清潔といえば聞こえがいいけど、ノイズを許さないということですね。ノイジーなものを容赦なく排除していく。最近の早稲田の状況を見ていても、ノイジーなものを排除することはどう見ても大学の自殺行為としか思えない。ノイジーなものがなくなったとき大学は要らなくなる。」と主張する。
そして最後は語学教育やリカレント教育などで大学を活用していく点で意見を同じくする。全共闘的な運動の提起を促しつつも、「大学解体」的なラジカルなものではなく、あくまで「ノイズ」レベルの学生運動のあり方を述べるあたりは首を傾げざるを得ないが、今日のキャンパス風景を思い出すに、議論自体は納得できるものであろう。
「障害学の時代へ」
本日の東京新聞の夕刊に全盲の静岡県立大学国際学部教授の石川准氏の「障害学の時代へ」と題した文章が載っていた。一口に「障害学」というのは「だれもが自由に、つつがなく、元気に生きていくのに必要なだけの財やサービスが得られるように分配することを優先すべきだと考える。もちろん働ける人には大いに働いてもらわなければならないので、働いて市場で評価された人ほど多くの収入を得てよいと考える」という市場主義経済をあわせ持つ共産主義の発想である。
「身体障害」、「精神障害」の中に含まれる「障害」とは、結局誰にとって一番の障害になのかと突き詰めていくと、結局特定の個人ではなく、市場主義経済の円滑な運営にとって支障になるものなのである。するならば「障害」を解消していこうとするならば、社会のあり方を変えていかねばならないということだ。「障害者問題」は得てして個人の思いやりやボランティア精神という議論に回収されがちであるが、石川氏の提唱する「障害学」の射程はあくまで社会のありようである。
メール転載
以下の緊急署名にご協力をお願いいたします。
なお秋季行動のビラは署名欄サイトに掲載中です。
政府の修正をしてまでの成立への工作に関しては以下の精労協のサイトに批判も含め掲載中です。
以下転載・公開大歓迎 HPをお持ちの方は是非ご掲載をお願いいたします。
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以下の緊急署名にご協力ください。
政府は、継続審議になっていた「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案」の臨時国会での審議、成立を目指しています。
このいわゆる「心神喪失者等医療観察法案」は、殺人、放火、強盗、強姦・強制わいせつ、およびそれらの未遂または傷害にあたる行為を行い、心神喪失又は心神耗弱であるとして不起訴処分、無罪判決ないし執行猶予判決を受けた人に対し、「再犯のおそれ」を理由に特別な施設へ強制的に入所させ、隔離収容しながら強制的に治療を受けさせるもので、その期間も上限も定めがありません。政府はこの法案成立のため修正案の提案を含め反対している野党の切り崩しを図っているところです。法案をめぐる状況は危機的であり、強行採決すらありうる情勢です。
私たちは廃案の声を示していくため緊急に以下の署名を呼びかけます。第1次集約は11月11日です。以下に賛同してくださる方は下記連絡先にお名前、肩書き、連絡先をご連絡ください。緊急ですのでできるだけメールあるいはファックスでお願いします。
署名本文
いかなる修正も許さず、私たちは「心神喪失者等医療観察法案」の廃案を求めます。
呼びかけ人
足立昌勝(関東学院大教授) 池原毅和(全家連顧問) 市野川容孝(社会学者) 大杉光子(弁護士) 岡田靖雄(精神科医) 富田三樹生(日本精神神経学会・精神医療と法に関する委員会委員長) 中島直(全国精神医療従事者連絡会議事務局) 森泰一郎(全障連関東ブロック) 八尋光秀(弁護士) 龍眼(陽和病院患者協会会員)
署名集約先
電話 090-4223-1092 大賀
FAX 03-3924-6646 陽和病院労働組合
メール kyodou-owner@egroups.co.jp
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以上