月別アーカイブ: 2002年3月

正解なき政界の動き

先日鈴木宗男議員と加藤紘一議員の2名が自民党を離党した。そのような自民党のごたごたに際して、必ず野党第一党の民主党の鳩山代表のコメントが出てくるが、いかんせん力がない。今回も「野党激怒!!」などの見出しが出て、「万死に値する」とのコメントが取り上げられているが、いくら語調を強くしたところで国民に訴えるだけのインパクトはない。

社民党が労組との関係を薄め、市民団体にシフトを移しつつある今、私自身は支持はしないが、民主党は新しい労働組合の在り方を模索する中での国家的枠組みでの「民主中道」路線を突き進むチャンスである。まだまだ党の中には良心的な議員もいる中で、くすぶってしまっているのは残念だ。

『思い出トランプ』

向田邦子『思い出トランプ』(新潮文庫)を読む。
直木賞受賞作である「花の名前」「犬小屋」「かわうそ」を含む短編集である。水上勉氏が解説でいろいろと述べているが、正直面白くなかった。非常に私的な部分での気持ちの揺れ動きをうまく描出しているのだが、内容が地味すぎる。

『殺意の爪』

昨夜遅くまで小池真理子『殺意の爪』(徳間文庫)を読んでいた。
最後まで犯人を絞らせない展開は読者を飽きさせない。後半部はリズムのある文体で勢いがあった。しかし結局は被害者が懇意にしていた友人の夫が犯人だったという、意外な盲点をついたどんでん返しな結末はいただけない。特異なフェティシズムを持った異常心理の人間が、普段は平凡な社会人や家族の仮面をかぶって生活しているという設定は、安直なサスペンスドラマを生みやすい。つい2・3年前のハリウッド映画がそうであった。

『週間金曜日』より

花粉症がますますひどくなってきた。因果は不明だが、昨日は7度5分の熱が出た。風邪薬を飲んですぐ寝た。今年の花粉症がこれまでで一番ひどい。今が猛威のピークなのだろうが、眼がかゆくてかゆくていらいら落ち着かず、気力まで萎えてしまう。まさに国民病といっても過言ではないだろう。早く治まってバイクでどこかへ出掛けたい。

『週間金曜日3月15日号(No.403)』の「世界の軍事力」の実態を読み、アメリカと中国の突出した軍事力に改めて驚いた。現役兵力は日本の24万人に比べ、ドイツは32万人、インドは116万人、米国は136万人、中国に至っては244万人である。また北朝鮮も108万人の兵力を維持している。さらに特殊部隊の数はイスラエルですら300人であるのに、米国は2万9千人、北朝鮮は8万8千人である。また軍事技術開発力においては陸海空、核兵器すべてにおいて米国が突出している。日本は米国の核の傘下にあるという批判があったが、現状はカナダ、ヨーロッパ、中南米、太平洋沿岸諸国のすべてがアメリカの軍事力の影響下に置かれているといっても過言ではない。

『読書術』

加藤周一『読書術』(岩波同時代ライブラリー)を読む。
特別目新しいことは述べていないが、彼の博学には舌をまく。ただ下記の加藤氏の読書のスタイルは気に入った。このような形で古典に親しんでみると、日常のちょっとしたいらいらも軽減されそうだ。

私は学生のころから、本を持たずに外出することはほとんどなかったし、いまでもありません。いつどんなことで偉い人に「ちょっと待ってくれたまえ」とかなんとかいわれ、一時間待たせられることにならないともかぎりません。そういうときにいくら相手が偉い人でも、こちらに備えがなければいらいらしてきます。ところが懐から一巻の森鴎外をとり出して読み出せば、私のこれから会う人がたいていの偉い人でも、鴎外ほどではないのが普通です。待たせられるのが残念などころか、かえってその人が現れて、鴎外の語るところを中断されるのが、残念なくらいになってきます。