読書」カテゴリーアーカイブ

『ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法』

福田和也『ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法』(PHP研究所 2001)を読む。
タイトル通り、著者が独自に編み出した読むコツや書くコツ、スケジュール管理などが紹介されている。特に、本を早く深く読む工夫として、気になったところや引用しようと思ったところのページを折っていくというところが興味深かった。この20年近く私が実践している方法と全く同じである。

また、雑誌やネットなど情報が溢れている中で、あえて現場に行くという点も参考になった。著者は本を書く際に対象の人物に関わりのある場所を尋ねることについて次のように述べる。ネット社会の現在だからこそ、大切にしたいことである。

現場に行く、ということはありあまる情報を、具体的かつ生き生きと読むための手続なのです。現場の雰囲気に触れることで、自分の枠を脱して、相手に思いをはせることができる。

(中略)私のいいたいのは、溢れかえる情報を、ただ整理するのではなく、自分なりに読み、消化し、それを表現するためには取材というプロセスが必要だ、ということです。そうすることによって、ただの情報が生き生きとしたものとして自分に迫ってくる。
だからこそ、取材とは読む筋道をつくるため、というのです。

『お金とカード』

宇都宮健児・武田裕子『お金とカード』(岩崎書店 1992)を読む。
高校生向けのブックレットのような本でサラッと読むことができた。安易にクレジットやキャッシングをしてしまうと、やがて泥沼の借金地獄に陥ってしまう。そのため衝動買いや無理なローンを組んでしまう自分を見つめ直し、「自分ルール」を作ることが大切だと説く。

1992年の本なのに、「『カード社会』『キャッシュレス時代』ということばを、きみもどこかできいたことがあると思う。サイフから現金を出してモノを買ったり食事をしたりするかわりに、カードを出せばハイOKという世の中のことだ。」という一節があった。日本ではこの2、3年でやっと本物のキャッシュレス時代になったというのに、今から30年も前の本に、「キャッシュレス時代」という言葉があったとは驚きであった。

つい先日、『カズレーザーと学ぶ。』という教養バラエティ番組の中で、カード決済時には脳の線条体からドーパミンが放出され、強い快楽を感じてしまうという研究結果が報じられていた。本書で指摘されているクレジットでの買い物に興奮を覚え、次から次へと高い買い物をしてしまう事例が実証された形である。

私自身、学生時代はクレジットカードが怖いと思っていたが、今ではキャッシュレスの方がポイントも貯まるので、現金支払いの方が損をしたと感じるまでになっている。自制が効かないことも多々あるので、戒めとしたい。

『自転車でやせるワケ』

松本整『自転車でやせるワケ:体にやさしく、効率的に脂肪燃焼できる理由とは⁉️』(ソフトバンククリエイティブ 2008)を読み返す。
改めて自転車でゆったりと長距離走ることで脂肪が燃焼されることを理解できた。どうしても筋力を使って汗をかく方が筋肉がついて痩せると思いがちである。しかし、実証データによると、運動強度が弱く、運動時間が長い方が脂肪を燃焼する割合が高くなるのだ。最大酸素摂取量や心拍数などから、軽いジョギング程度で安定した心拍数を保てる運動強度を長く続けることが一番効果的だと分かる。著者は元競輪選手だったこともあり、アスリート向けのトレーニングなども紹介している。ごちゃごちゃと御託を述べる前に、週3回以上の有酸素運動を始めることが大切である。

『花の鎖』

湊かなえ『花の鎖』(文春文庫 2013)を読む。
最初は同じ店を舞台に3つのドラマが同時に繰り広げられている群像劇だと思っていた。最後の方で空間的に話が繋がっていくのだろうと読み進めていった。しかし話がほとんど繋がらず、みえみえの伏線ばかりで頭の中で整理するのに苦労した。途中で3つの物語が空間的ではなく、時間的に繋がっている話だと気付いた時にハッとした。

『木を植えた人』

ジャン ジオノ『木を植えた人』(こぐま社 1989)を読む。
フランスの田舎の荒地にどんぐりを蒔いて森に育て上げた男の物語である。話のメインテーマは森ではなく、森を育てる男の生き方にある。他人との比較ではなく、二十年後、三十年後の森の成長を目標に地道に生きていく幸せが描かれている。