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『自転車と旅しよう!』

絹代『自転車と旅しよう!』(枻エイ文庫 2008)を読む。
ムック「自転車生活」に掲載されたリポートを再構成したものである。
しまなみ海道、白神山地、大分・耶馬渓、北海道、佐渡島、宮古島、湯布院、八ヶ岳・本沢温泉、東京・お台場、大阪・自転車博物館の10のスポットを自転車で巡る紀行文である。文章が軽妙で、一気に読んでしまった。
この手の本はどうしても単調になりがちだが、ロードバイク、クロスバイク、MTB、ミニヴェロの4台に乗り、輪行や山道、レースなど多彩に富んでおり、飽きることがなかった。構成の巧さであろう。

『ナショナリズムをとことん考えてみたら』

春香クリスティーン『ナショナリズムをとことん考えてみたら』(PHP新書 2015)を読む。
先日の東京新聞でのコラムを目にして、彼女の素直な感性が気になって注文してみた。
一水会の鈴木邦男氏、朝生の田原総一朗氏、経済評論家の三橋貴明氏らとの対談を通して、自身のブログのコメントが大荒れした背景について考察を加えていく。ネトウヨの実情に始まり、ネトウヨと右翼の違い、左翼と右翼の逆転、さらには「グローバル化」の視点から見る右翼と左翼の相違、「イスラム国」と移民に対するナショナリズムの動きなど、章が進むごとに彼女の考えがどんどん深くなっていくのが分かる。

 国会とは別の「現場」に行くこともあります。オフを利用して、日帰りで沖縄を訪ねたりするのです。仕事でもなんでもありません。完全にプライベートで、もちろんマネージャーも連れずに飛行機に乗って、米軍の普天間基地や嘉手納基地や辺野古などの様子をみてきました。
 観光もせずに、基地だけを回って、丸一日使う二十三歳などいないかもしれません。ネットを使えば、その数分の一の時間でかなりの情報を手に入れることができるでしょう。
 でも実際に行ってみないと、言葉ではうまく伝えられない現地の状況を肌感覚で理解することはできません。もちろん、安全保障や基地の問題は理詰めで議論しなければいけませんが、それだけでは解決しない部分もあると思います。
 現地の空気や匂いのようなものをわからずに、ロジックだけで語っても、何か大事なことを脇に置いてきてしまう。それでは結局その議論自体に説得力は生まれないし、現地の人たちにとっても、部外者が議論している、という以上の印象を与えることはできないのではないでしょうか。

特に目新しい内容ではないのだが、自分自身の言葉で書かれているので、ストレートに伝わってくる文章である。

また、経済評論家の三橋氏のコメントが気になった。

 フランスでも、昔は移民制限なんて口に出せる話ではありませんでした。そんなことをいえば「差別主義者」のレッテルを貼られて、メディアからも叩かれるに決まっていますからね。ところが移民制限を主張する国民戦線が世論の支持を得るようになると、メディアの論調も変わってきた。最近は国民戦線ではない政治家も、当たり前のように移民制限を口にしますよ。そちらのほうが国民にウケるからです。
 なぜそうなるのかといえば、それが普通の人間的な感情だからでしょう。外国人の数が少ないうちは平気で受け入れられても、あまりにその数が増えて国中に住み着き、まるで別の国のような状況になっていくのを経験すると、「これはよくない」と思っても不思議ではない。それを人種差別、民族差別といった話と同類にすべきではないと思います

この本は昨年の2月に刊行されている。まだトランプ米大統領の誕生が信じられなかった頃の話である。日本では差別主義者のトランプ氏が大統領になるなんてという報道が続いたが、「愛国主義イコール排外主義」と一緒くたにしてしまう日本のメディアの抱えるスタンスが問題であると三橋氏は指摘する。鋭い批判である。

『リーダーの信念』

五木寛之対談集『リーダーの信念』(扶桑社 2014)を読む。
BSフジで放映された対談番組の書籍化である。京セラの名誉会長稲盛和夫氏、幻冬社の見城徹氏、サッカー日本代表監督を務めた岡田武史氏の3人との対談を通して、それぞれは業界は全く異なるが、社長や監督としての心構えや、成功の秘訣、トップとしての美学などが詳らかになってくる。人生の先達たちの話を伺うという、少し真摯な気持ちで読んだ。
特に、見城氏が高校時代に五木氏の初期の作品に感動し、編集者を志したという話や、また岡田氏も『青春の門』を読んで感動し、浪人して早稲田を目指したという話が興味深かった。

『次世代インターネットの経済学』

依田高典『次世代インターネットの経済学』(岩波新書 2011)を読む。
京都大学大学院経済学研究科で教鞭を執る著者が、「発展著しい情報通信産業を経済学から解き明かしていこう」と、ブロードバンドがADSLからFTTH、ケータイからスマホ、さらにその通信速度も3Gから3.9Gへ、そして「クラウド」という言葉が流行りつつあった2011年当初の通信環境の進展を、経済学で定説となっている「公式」に当てはめつつ論じている。
あまり面白いものではなかったが、SIMロック解除やメタル回線の扱いなど、上梓されてから5年経った現在、著者の予測が正しかったことが分かる。

『ソーシャルメディア革命 「ソーシャル」の波が「マス」を呑み込む日』

立入勝義『ソーシャルメディア革命 「ソーシャル」の波が「マス」を呑み込む日』(ディスカヴァー携書 2011)を読む。
本日は出張で電車に4時間近く揺られていたので、新書一冊を一気に読むことができた。
当時、飛ぶ鳥を落とす勢いで広がっていったフェイスブックとツイッターのオープンネットワークの持つ特性や将来性、そしてそれを可能としてきた米国の懐の深さについて述べる。また、それとは逆に、グリーやミクシィといった日本独自のクローズドなコミュニティの限界性、引いては日本人の「島国根性」にまで批判の目を向ける。