毎日新聞地方部特報班編『花鳥風月 気候図ものがたり』(毎日新聞社 1994)をパラパラと読む。
サクラ前線だけでなく、タンポポやアジサイ、ススキ、サルスベリ、はたまたアブラゼミやモンシロチョウなど、花や虫、鳥など様々な前線マップや分布図が紹介されている。日本の気候だけでなく、風習や文学にまで話が脱線していく面白い内容であ理、3分の1ほどまでは興味深く読んだ。ただし、毎日新聞に1年かけて毎週連載された同じような体裁のコラムが50本ただ並べられているだけなので、途中で飽きてしまった。もう少し文庫本になる際に工夫があれば良かったのだが。
「読書」カテゴリーアーカイブ
『7月のフランス 自転車とともに』
岡田由佳子『7月のフランス 自転車とともに』(エイ文庫 2009)を読む。
ツールドフランスの観戦記かと思いきや、単なる夏のフランス観光ガイドであった。
雰囲気のある街並みやおしゃれなカフェ、美味しそうなパンの紹介記事が延々と続く。
可愛いイラストもあり、旅行好きの女性向けにぴったりの内容であった。
『日本地図から歴史を読む方法』
武光誠『日本地図から歴史を読む方法:都市・街道・港…意外な日本史が見えてくる』(河出書房新社 1998)を読む。
明治学院大学で教鞭を執る著者が、日本各地の都市の成立について詳細に語る。「いいとも」休止後の「ブラタモリ」の元ネタのような内容で、実際に現地をブラブラしながら読むと面白さも倍増であろう。
まえがきの中で「自然地理学の成果を取り入れつつ歴史を見ていくと、多くの新たな発見を得る」とあるが、その点はあまり掘り下げられていなかった。
『日本の古代道路を探す』
中村太一『日本の古代道路を探す:律令国家のアウトバーン』(平凡社新書 2000)を一気に読む。
飛鳥時代から平安時代初期にかけて建造された、宮都周辺で幅24〜42メートル、地方で幅12メートル、直線で10キロメートル以上も続く古代道路に纏わる入門書である。主に大和内の道、東海道、東山道を中心に、その痕跡の発見のコツや、駅家の役割、遺跡の特徴などが分かりやすく語られる。
考古学とも歴史学とも異なる歴史地理学という分野の面白さを味わうことができた。
『東京の自然水』
早川光『歩く楽しむ東京の自然水』(農文協 1988)を読む。
東京都内の湧水や、井戸水を利用した美味しい地酒・豆腐・温泉を巡る探訪記である。
つい数十年前まで、東京でも湧き水や井戸が生活の重要なライフラインとして欠かせないものだったのだと改めて感じた。
現在では都内に降る雨の大半が下水管を流れてしまい、その総量は約1億5千トンにもなるそうだ。その雨水が地下水となり、水道として利用できれば、わざわざ他県にある水源にダムを建造しなくても済むのだ。
また、東京の空気は乾燥しており、年間の平均湿度はアフリカの砂漠地帯よりも低くなっている。これも空気中に湿気を与える地下水が枯渇していることが原因の一つとされている。また乾燥化は、インフルエンザなどの空気伝染するウイルス性の病原菌が感染しやすくなったり、植物の生育環境が変わるため鳥などの動物を含めた全体の生態系の変化も危惧されたりする。
最後に著者は次のように述べる。
東京にはまだこれだけの湧水や名水が残っています。しかしそれらは確実に絶滅に近づいています。おそらく二十一世紀には、都心の湧水のほとんどは姿を消してしまうでしょう。(中略)
数多くの生き物たちは人間に無言の警告を発しています。カワセミが消えカラスばかりが増えている「自然教育園」や、ホタル養殖を始めたときから湧水が減ってゆく公園の姿から、都会の人間が何を学び、悟ってゆくかが重要です。そしてそれを取り巻く自然、地下水そのものも、何かを伝えてくれているはずです。この本を手にしたあなたが、湧水、井戸水、そしてそれに関わるあらゆるものに触れることで、テレビや新聞では得られない重要な情報を獲得されんことを祈ります。
