地理」カテゴリーアーカイブ

「スリランカ大統領 国外脱出」

本日の東京新聞朝刊に、スリランカ情勢の続報が掲載されていた。
デモが激化しているスリランカのゴタバヤ・ラジャパクサ大統領が近隣のモルディブに脱出したとのこと。

モルディブの面積は298平方キロメートルで、東京23区の約半分である。1192の環礁(サンゴ礁)の島々からなり、そのうちの145島がリゾート島となっている。人口は55.7万人で、観光がGDPの26.3%を占める。赤道が近いため、水産業では暖海性魚類のカツオやマグロが主な輸出品である。コロナ以前は観光業で財政が潤っていたため、一人当たりのGNIは9,640米ドル(2019年世銀資料)となっている。

伝統的な親日国でもあり、日本が最大規模の二国間援助供与国となっている。モルディブと日本の外交ルートを通じてスリランカ大統領が日本に亡命してくる可能性も出てくるかしれない。

「世界の人口 年内80億人」

本日の東京新聞朝刊に、世界の人口が今年の後半には80億人に達するとの記事が掲載されていた。さらに、2023年にはインドが人口減少に向かっている中国を抜いて世界最多になるとの見通しが示されている。

日本や韓国などの東アジアや欧州では人口減少が続いているが、世界ではアフリカを中心に、南アジアや南米など人口が増加している地域が多い。近年は人口増加のペースが下がったとはいえ、年間1億に弱の人口増加が続いており、食糧だけでなく、エネルギーや居住など多くの問題が噴出している。

一般的に先進国では人口減少、開発途上国では人口増と色分けされる。しかし、先進国の少子化も開発途上国の人口爆発も一筋縄に解決できる問題ではない。夏休みの宿題のテーマにも人口問題が入っているので、ぜひどこかの国の人口増加(減少)の実態と背景、そして打開に向けた取り組み、自分の提言などをまとめてほしい。

本日の東京新聞朝刊記事より。
インドの南東部に位置するスリランカで、経済危機の抗議デモが広がり、ついにゴタバヤ・ラージャパクサ大統領辞任が辞任という事態を迎えた。記事によると中国などから借り入れた多額の債務負担や国民受けを狙った減税に加えて、新型コロナウイルスの拡大で観光業が大打撃を受け、輸入に頼る食料や燃料が不足し、価格高騰が市民生活を直撃している。

記事の下に地図を付けたが、スリランカは中国の「一帯一路」経済圏構想の中核に位置付けられている。「一帯」は中央アジアを経由して欧州へ至る現代版シルクロード、「一路」とはインド洋を経由してアフリカ、欧州へ至る市場ルートである。中国はインド洋の支配に向けて、大国インドの喉に刺さった魚の骨のように、スリランカへの投資を続けてきた。

昨年の授業で紹介した、名古屋入管で死亡したウィシュマさんもスリランカの出身である。2019年の爆破テロ事件から、スリランカ経済は大きく下落しており、観光業は下火となっていた。2020年の新型コロナウイルスの感染拡大がそれに追い討ちをかけたが、現政権の失政こそが大きな要因となっている。

スリランカは資源に乏しく、輸出産業は繊維などの軽工業のみである。セイロンティーが有名であるが、昨年ゴタバヤ・ラージャパクサ大統領が「100%有機農業政策」という馬鹿げた政策を打ち出したため、スリランカ国内の農業が大混乱に陥っている。現在は化学肥料の輸入再開に踏み切ったようだが、世界的なドル高のために調達がうまくいかず、国内の食糧事情も悪化している。

日本は中国に次いで、スリランカの援助国となっており、2021年10月現在、日系進出企業は107社を数え、貿易額は約666億円(2021年)で、スリランカにとって重要な貿易相手国(輸入は第7位、輸出は第11位)となっている。日本がこれからスリランカにどのように対応していけるのか。ウィシュマさんの事件を教訓としたい。

「ハイチ大統領暗殺1年」

本日の東京新聞朝刊記事より。
本日の1限の授業で期末考査を返却できなかったので、経済破綻した南アジアのスリランカと、政治が破綻した中米のハイチを取り上げた。ハイチの説明で大統領が暗殺され、政治が全く機能していない犯罪多発の救いようのない国家だと蔑むような説明をした。
しかし、その後、日本の安倍元首相の銃暗殺事件が報じられ、ハイチを馬鹿にできな日本の情勢に恥じ入ることとなった。

真偽のほどは不明だが、1906年伊藤博文が現在の中国黒龍江省にあるハルビン駅で銃で撃たれた直後、自分を狙った犯人(安重根)が朝鮮人だったということを知り、「馬鹿な奴だ」と呟いたそうだ。テロで元首相を暗殺しても何の政治的な効果はなく、むしろ反感を買うだけの逆効果であり、朝鮮の独立が遠のくだけだという意味の言葉を遺したとも言われている。

安倍元首相も凶弾に倒れる寸前に、「馬鹿な奴だ」と呟いたのであろうか。

「盛り土 崩落の衝撃と教訓」

本日の東京新聞朝刊に、昨年大規模な土石流が発生した静岡県熱海市伊豆山の現在の様子が紹介されていた。

地理の先生っぽく解説を加えてみたい。日本は環太平洋造山帯の狭まる境界の付近にある、4枚のプレートが折り重なった弧状列島である。伊豆半島を構成する島々は元々日本から数百キロはなれた沖合いにあったが、フィリピン海プレートに乗って北上し、60万年くらい前に現在の神奈川県と静岡県の県境と繋がったと