地理」カテゴリーアーカイブ

「堀江さん 太平洋横断成功」

本日の東京新聞夕刊に、海洋冒険家の堀江謙一さんが米サンフランシスコから和歌山・日ノ御埼沖の紀伊水道までヨットでの横断に成功したとの記事が掲載されていた。

ちょうど地理Bの授業で大気大循環を扱ったところだったので、興味深く記事を読んだ。ヨットの推進力はセールで受ける風であるため、東風が吹かないことにはヨットは勢いに乗らない。航路をみると北緯19度に位置するハワイ沖を通過している。地球の地軸が23.3度傾いているので、6月下旬の夏至の日に北緯23.3度の北回帰線上の真上を太陽が通過する。堀江さんが航海した4〜5月は、北緯10〜20度付近が熱帯収束帯となり、貿易風とも呼ばれる偏東風が吹く。また、地軸の傾きで北赤道海流の流れが強くなる時期でもある。

堀江さん地軸の傾きが分かっており、貿易風と北赤道海流に乗る4〜6月に冒険の時期を設定したのであろう。また、今年はラニーニャ現象が発生しており、例年よりも貿易風が強くなっていることも成功の要因に数えられる。

「石炭火力 廃止期限触れず」

本日の東京新聞夕刊にG7環境相会合で、石炭火力発電を2030年までに段階的に廃止するという表現に日本政府が反対し、廃止の期限が明記されなかったとの記事が掲載されていた。詳細は記事を読んでほしいが、記事を読む限りは私も賛成である。
授業中に触れたが、ロシア~ウクライナ情勢の悪化により、天然ガスの供給が世界的にストップしている。

今年の4月15日に経済産業省資源エネルギー庁が発表した、最新の2020年度のエネルギー需給実績のデータによると、日本のエネルギー構成の4割が天然ガス、3割が石炭、太陽光発電が1割強、水力が1割弱、原子力が0.5割程度となっている。再生可能エネルギーの太陽光、風力、地熱、バイオマスの構成比率を上げることについては異論のないところであろう。ただし、再生可能エネルギーは安定供給の面で致命的な欠陥を抱えている。

理系(志望)で数3Cを選択した(する)生徒は、電気や応用化学の学部学科に進んで、リチウム充電池や全個体電池の研究・開発分野に進んでもらいたい。将来的な成長分野であることは間違いないし、日本の環境政策を大きく左右する需要な使命感を感じる分野である。

ここからは私の持論だが、日本に原子力発電は一切不要であり、即時廃炉すべきである。ではその分のエネルギーはどうするのか。将来的には再生可能エネルギーで賄うべきである。また、21世紀後半までは二酸化炭素の排出が少ない天然ガスに頼るべきである。ただ天然ガスはロシアとの友好関係が問われる。そして21世紀前半までの短期的観点では、日本が誇る高効率石炭火力発電を押し進めるべきだと考える。

天然ガスの供給が滞ったとしても、原子力発電所の再稼働をしてはならない。そのためには教育が大切である。ちょうど地理総合では内的営力・大地形の項に入ったが、地球が動いている、特に日本は4枚のプレートが重曹的に重なり合っている地震大国であるという点を強調していきたい。

令和2年度(2020年度)エネルギー需給実績(確報)(令和4年4月15日公表)

「ロシアへの協調 中国アピール」

本日の東京新聞朝刊記事より。
今週の地理総合の授業で紹介した日米豪印のクアッドが敵対する、中国・ロシア・北朝鮮に関する記事です。上記の3カ国だけでなく、インドに対抗するスリランカやパキスタン、米国に対抗するイランや中南米、中国の一帯一路経済圏に含まれるミャンマーや中央アジア、欧州でもアルメニアやセルビア、ベラルーシといったの国々までもが中露の連携に加わろうとしている。ミサイル外交で虚勢を張る金正恩を第3代最高指導者に据える北朝鮮はなどは、中露連携にとって都合の良い「咬ませ犬」の立場にすっぽりと嵌っている。

「日米豪印 対中国念頭 連携確認」

本日の東京新聞夕刊記事に、米国バイデン大統領に加え、オーストラリアの労働党党首で昨日首相に就任したばかりのアルバニージー首相と、インドのモディ首相が揃って日本で会合を行い、「自由で開かれたインド太平洋」実現に向けた連携を確認したとの記事が掲載されていた。昨年度の授業でも触れたが、東シナ海、南シナ海、マラッカ海峡、インド洋という広い範囲で中国の海外進出を牽制する目的で、前トランプ米国大統領が提唱したものである。また、このクアッドを補填する、米英豪の安全保障の枠組み(軍事同盟)「AUKUS(オーカス)」も発足している。

昨日来日したバイデン大統領は、台湾有事での米国の積極的な役割を声高に強調している。また、ラダック地方やブータン東部で中国との国境問題を抱えるインドも参加するなど、東西から中国に圧力をかけようとするバイデン大統領の露骨な外交戦略が垣間見える。地図帳で確認してみてください。台湾、新疆ウイグル自治区、中国・インド・パキスタンの国境未確定地域のカシミール地方を線で繋いでみると、このクアッドの狙いが理解できると思います。

ちなみにモディ首相は、インドのカースト制度で最下層にあたるダリット出身である。そもそも首相職など、2000年以上前のカーストには位置付けられていない職業なので、自動車やICT産業と同じく、誰でも挑戦できるアウトカーストな職業に分類される。