地理」カテゴリーアーカイブ

「ハイチ大統領暗殺1年」

本日の東京新聞朝刊記事より。
本日の1限の授業で期末考査を返却できなかったので、経済破綻した南アジアのスリランカと、政治が破綻した中米のハイチを取り上げた。ハイチの説明で大統領が暗殺され、政治が全く機能していない犯罪多発の救いようのない国家だと蔑むような説明をした。
しかし、その後、日本の安倍元首相の銃暗殺事件が報じられ、ハイチを馬鹿にできな日本の情勢に恥じ入ることとなった。

真偽のほどは不明だが、1906年伊藤博文が現在の中国黒龍江省にあるハルビン駅で銃で撃たれた直後、自分を狙った犯人(安重根)が朝鮮人だったということを知り、「馬鹿な奴だ」と呟いたそうだ。テロで元首相を暗殺しても何の政治的な効果はなく、むしろ反感を買うだけの逆効果であり、朝鮮の独立が遠のくだけだという意味の言葉を遺したとも言われている。

安倍元首相も凶弾に倒れる寸前に、「馬鹿な奴だ」と呟いたのであろうか。

「盛り土 崩落の衝撃と教訓」

本日の東京新聞朝刊に、昨年大規模な土石流が発生した静岡県熱海市伊豆山の現在の様子が紹介されていた。

地理の先生っぽく解説を加えてみたい。日本は環太平洋造山帯の狭まる境界の付近にある、4枚のプレートが折り重なった弧状列島である。伊豆半島を構成する島々は元々日本から数百キロはなれた沖合いにあったが、フィリピン海プレートに乗って北上し、60万年くらい前に現在の神奈川県と静岡県の県境と繋がったと

「今年最高 都心37度」

本日の東京新聞朝刊にここ最近の猛暑の模様が報じられていた。
内陸ほど昼間の気温が高くなるので、40度を超えた地点として群馬県桐生市や伊勢崎市、埼玉県鳩山町などが取り上げられている。

この猛暑の原因に、貿易風に乗って太平洋を東から西に流れる赤道海流によるラニーニャ現象が指摘されている。ラニーニャ現象が発生すると、記事にもある通り太平洋高気圧とチベット高気圧が張り出し、日本付近で厳しい暑さになる。また、ラニーニャ現象が起きる夏は水不足や台風被害の拡大も予想されている。今も暑いが、9月に入ってからも厳しい残暑に見舞われることであろう。

 

「プーチン氏 粛清の記憶消す」

本日の東京新聞朝刊に、ロシア・プーチン大統領がロシア国内でも否定されているはずのスターリン政治の再評価を進めているとの記事が掲載されていた。世界史の範囲になるが、ヨシフ・スターリンは、1924年にレーニンが亡くなってから30年近くソビエト社会主義共和国連邦の代表を務めた人物である。一国社会主義論を展開し、万国の労働者のための国づくりではなく、自分たちの懐を潤すだけの独裁体制を作り、反対派を徹底して粛清した人物としても知られている。粛清された人は、1,000万人とも3,000万人とも言われる。

どこかのクラスで話したが、政治や民族、経済的に国内が分断され始めると、政権側は自分たちにとって都合のよい国家統合装置をつくり出す。それは王室や皇室だけでなく、国民栄誉賞を貰うようなスポーツ選手や芸能人かもしれない。いずれも政治的な溝や民族的な齟齬、経済的な格差を覆い隠すようなパフォーマンスが繰り広げられる。

スターリンの死から3年後の1956年に、フルシチョフソ連共産党第一書記長によって、行き過ぎたスターリン個人崇拝が、誤った独裁政権や大量殺人を行った政権を生み出すことになったと批判されている。

「トレーラーから50遺体発見

本日の東京新聞朝刊に、米南西部のテキサス州の校外で乗り捨てられたトレーラーからヒスパニック系の移民50人の遺体が見つかったとの衝撃的なニュースが報じられていた。

50人の内訳で判明している人の国籍は、メキシコが22人、グアテマラが7人、ホンジュラスが2人だという。このうちホンジュラスは人口1000万人近い国だが、資源に乏しく、コーヒーやバナナ、パーム油などの熱帯商品作物しか輸出できないため、一人当たりのGNIは2,180米ドルとなっている。近年の物価高や失業率の増加、米ドル高を考慮すると、数字から見えてくるもの以上に経済が混乱していることが想定できる。

地理の公式ということで、移民や難民は一人当たりのGNIが低い国から高い国へと移動していく。米国の1人あたりのGDPが69,221ドルであることを考えれば、コロナや物価高、独裁政権で混乱している中南米諸国から米国への流れは止めようがない。

また、授業中に何度も触れているが、中南米はブラジルや一部の国を除いてスペイン語が話されているので、国を超えた移動が楽である。但し、メキシコと米国の間の国境警備は厳しくなっており、バイデン政権になってからも排外主義の流れは変わっていない。

今後の授業の中でも、一人当たりのGNIを確認しながら、移民や難民について考察する機会を増やしていきたい。