地理」カテゴリーアーカイブ

「台湾南東部 震度6強」

本日の東京新聞朝刊に昨日の台湾南東部の地震の被害が報じられていた。
これは決して日本とは無縁の海外の話ではない。日本と同じく、台湾もフィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込む狭まる境界近くの弧状列島となっている。今回の震源である台湾南東部はプレートの境界のすぐ近くにある。日本の東海、四国、九州沖にある南海トラフと直結する問題であり、今後の海溝の観測が重要となってくる。

中華人民共和国と中華民国

本日の授業の中で紹介した台湾への米国の軍事支援に関する記事と、中ロ首脳会談の記事です。
1949年の毛沢東による中華人民共和国の成立と、台湾島で成立した蒋介石による中華民国との関係が理解できれば、下記の記事の背景も理解しやすいと思います。

「強制労働製品 EUが禁止へ」

本日の東京新聞夕刊に、欧州連合が強制労働によって作られた製品をEU市場で販売することを禁止する方針を提案したとの記事が掲載されていた。

授業の中でも取り上げていくが、EUと敵対関係にある中国・新疆ウイグル自治区での綿製品の強制労働を取り上げ、米国と一体となって中国に圧力をかけるのが狙いである。ウイグル自治区での民族絶滅のとんでもない行政府のやり口を知ると、こうした圧力は意味があると考える。

しかし、一方で児童労働の槍玉に挙げられているガーナやコートジボワールでのカカオ豆生産はどのように

がオランダやベルギー、ドイツ、フランスに輸出されているが、

「アルメニアとアゼルバイジャン 国境越え衝突、死者も」

本日の授業の中で紹介した新聞記事です。
カフカス山脈周辺は旧ソ連で締め付けられていた分、1990年以降、民族主義や宗教帰属意識が噴出し、政治的に安定しない地域となっています。

今回紹介したアルメニアvsアゼルバイジャンも、ロシアやトルコといった大国の思惑だけでなく、原油や天然ガスのパイプラインも絡んでおり、2年前の紛争をプーチンの仲介も期待できない。
では、どうすれば良いのか。といった問題提起が、本日のプレゼンの説明の導入となっておりました。

「ヒマラヤ越えの鉄道!?」

本日の東京新聞夕刊にヒマラヤを越えて中国チベット自治区とネパールの首都カトマンズを繋ぐ鉄道計画が報じられていた。正直カトマンズまで鉄道路線を敷いたところで、飛行機の方が圧倒的に利便性が高く、観光客は限られるであろう。一帯一路経済圏を拡大しようとする中国側の物流網の整備という思惑が強く働いているのであろう。

むしろ、私が気になったのが今も隆起が続くヒマラヤ山脈で、線路を敷くが可能なのかという疑問である。ネットで調べたところ、以下のような計測結果があるとのこと。

  • 1954年のインドの測量による「8848m」
  • 1975年の中国の登山隊が計測した「8848.13m」
  • 1999年にアメリカの調査隊がGPS(全地球測位システム)による調査結果として発表した「8850m」
  • 2005年に中国が再計測して発表した「8844.43m」
  • 2020年に中国とネパール両国が公式に共同発表した「8848.862m」

計測方法でばらつきはあるものの、およそ100年間で1m近く隆起していることが分かる。ヒマラヤ山脈は、約4000万年前に、インドプレートに乗っかってアフリカ大陸から切り離されたインド半島が、ユーラシアプレートに衝突して隆起した山脈である。そして現在もインドプレートは、インド洋南部の海嶺の動きによってユーラシアプレートに圧力をかけ続けている。これほど成長著しい山脈にトンネルや鉄橋を建設するのは極めて危険である。

また、地球温暖化によりヒマラヤ山脈の万年雪や氷河が溶け始めている。授業中にも紹介したパキスタンでのインダス川の氾濫の要因にヒマラヤ山脈の気温上昇が挙げられている。地震だけでなく、温暖化の2つの危険があり、ヒマラヤ越えの鉄道建設は「無謀」と言わざるを得ない。