地理」カテゴリーアーカイブ

「インド人口 今年世界一へ」

本日の東京新聞朝刊に、今年2023年に14億1200万人の人口を抱えるインドが中国を超えるとの記事が掲載されていた。合計特殊出生率が人口を維持するだけの2.1となっており、若年層がインドでは、さらに人口が膨れ上がっていく。一方、中国は、合計特殊出生率は2020年こそ日本と同じ1.3だが、ゼロコロナ対策以降の2021年は世界最低レベルの1.16という報道もある。高齢層が多い中国は今後10数年でグラフの想定以上に人口を減らしていくことであろう。

一人当たりGDPは 2,277ドル(2021年)であり、モディ首相が唱える2047年に先進国の仲間入りという目標は遥かに遠いが、2021年のGDP成長率は8.9%(世界平均は2.3%)となっており、この時代に世界トップレベルの成長カーブを実現している。貿易面でも米国やUAE(アラブ首長国連邦)との関係を深めており、インドの注目度はますます高まっている。

3学期は南アジアの続きから入っていくが、地形や宗教よりも工業や第3次産業に焦点を当てていきたい。

「ブラジル ルラ大統領就任」

本日の東京新聞朝刊に、ブラジル新しい顔となった左派のルラ大統領の就任式の模様が報じられていた。経済優先でアマゾンの熱帯雨林の伐採を進め、コロナ対策を事実上放棄したボルソナロ前大統領に代わって、どれほどの力を発揮するのか注目の的である。

ブラジルは面積が851.2万平方キロメートルと日本の22.5倍もあり、人口も2億1400万人と日本の2倍近い。言語はポルトガル語で、カトリックが6割を占める。2021年の経済成長率は4.6%もあり、この成長が前政権の人気を支えていたのであろう。一人当たりGNIは7,518米ドル(2021年)とそこそこの数値となっているが、失業率も10%近くあり格差が広がっているという。

輸出品の大きな割合を占めるのが熱帯雨林下の鉄鉱石である。また、セラードと呼ばれるブラジルの中西部では大豆栽培と、大豆を飼料として牛肉の生産が盛んである。また、中国は大豆の輸入量で世界の6割を占めており、ブラジルで作られた大量の大豆が中国に輸出されている。

鉄鉱石生産量(2020)
1:オーストラリア 2:ブラジル 3:中国
大豆生産量世界ランク(2021)
1:ブラジル 2:米国 3:アルゼンチン
牛肉生産量
1:米国 2:ブラジル 3:中国 4:アルゼンチン

 

「クロアチア “ユーロ”導入始まる 20カ国目 域内の自由往来も EU結束に弾み」

[テレ朝news]より。

クロアチアで1日からヨーロッパの共通通貨ユーロが導入されました。
ヨーロッパ域内を出入国検査なしで移動できる協定への参加も始まりました。
クロアチアは、1日からこれまでのクーナに替わる通貨としてヨーロッパの共通通貨ユーロを導入しました。ユーロ圏は20カ国に拡大します。
また、同時にヨーロッパ域内を出入国検査なしで移動できる「シェンゲン協定」への参加も始まりました。
協定参加国との間で陸路と海路は1日から、空路では3月26日から自由な往来が可能となります。
 
クロアチアは2013年にEU=ヨーロッパ連合に加盟した最も新しい加盟国で、EU統合が進むことになります。
ロシアのウクライナ侵攻が続くなか、2023年もEUが結束して対応できるかが注目されます。

「モンゴル 汚職・インフレ、不満爆発」

本日の東京新聞朝刊に、モンゴルで石炭輸出を巡る汚職疑惑で揺れているとの記事が掲載されていた。東アジアの項で取り上げなかったモンゴルについて確認しておきたい。

モンゴルは13世紀後半には世界の4分の1、人口1億人を抱える大帝国であった。しかし、14世紀に入ると、現在のイランやトルコ、ロシア、中国の反乱によって一気に滅亡に向かっていった。16世紀にはインドでモンゴルの名を継いだムガル帝国などの誕生もあったが、現在の領土とほぼ変わらないところまで退却している。

20世紀前半には旧ソ連政権の成立に合わせて、社会主義国となっている。しかし、1990年に旧ソ連が崩壊すると、同じタイミングで社会主義を事実上放棄し、複数政党制を導入し、民主化・市場経済化の道を選択している。

国土こそ日本の4倍の156万平方キロメートルもあるが、人口は日本の3%の340万人しかおらず、国際ニュースで報じられることは少ない。首都のウランバートルに160万人余りが暮らしており、典型的なプライメートシティとなっている。国土の大部分はケッペンの気候区分の亜寒帯冬季少雨気候(Dw)であり、内陸部は海から遠いため、ステップ気候(BS)や砂漠気候(BW)に属している。

モンゴルは工場や農場は少なく、輸出のほとんどを石炭、銅、ウラン、レアメタル、レアアース等の地下資源に頼っている。一人当たりのGDPは4,167米ドル(2020年)となっており、金持ちの国ではないが、緊急の食糧支援を必要としている国でもない。2012年から始まった日本とモンゴルの間で経済連携協定(EPA)交渉が2016年にまとまり、その前後から貿易額は輸出入ともに大幅に増えている。

ネットで検索したところ、不正を起こしたとされるTavan Tolgoi社は、社会主義時代の1966年に設立されている。公有企業なので、民営化する前のJRやJT、JTB、営団地下鉄などをイメージすると分かりやすいだろうか。
一私企業の問題ではなく、モンゴル政府の関与も疑われる深い闇を感じる事件である。

「防衛費5年43兆円」

本日の東京新聞朝刊記事より。
岸田政権は防衛力の抜本的増強を目指し、2022年度まで年間5兆円で推移していた防衛費を5年で43兆円に倍額すると閣議決定している。記事によると、更に「後年度負担」により16.5兆円も予算化されているとのこと。

自衛隊員の給与や食糧などに使われるならば文句はないが、増大分の大半が米国製兵器の購入に充てられるのはいかがであろうか。米国の防衛産業を潤すために税金が増え、社会保障費や教育、インフラ整備などの予算が削られ、これから社会に出る若者の生活レベルが下がるということである。

しかも、さきほどの南シナ海の米軍展開を支える屋台骨が沖縄となっている記事に示されているように、これだけ莫大な防衛予算は日本国民を守るのではなく、米軍のアジア太平洋地域の軍事展開への助太刀が目的である。巡航ミサイル「トマホーク』やF-35戦闘機の配備がどれほど日本国民を守ってくれるのであろうか。

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