地理」カテゴリーアーカイブ

「ロシア極東の村にシロクマ60頭」

本日の東京新聞夕刊に、北極海の温暖化に伴うシロクマの飢餓に関する記事が掲載されていた。現在スペインのマドリードで気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)が開催されており、温暖化の主要因となっている二酸化炭素の排出削減が各国首脳の間で議論されている。日本も二酸化炭素の排出が多い石炭火力発電を重視する政府方針に批判が集まっている。

ちょうど今夜、リチウムイオン電池の開発でノーベル化学賞を受賞した旭化成の吉野彰氏がスウェーデンのストックホルムで授賞式と晩餐会に臨んでいる。吉野氏は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーでつくった電気を街のステーションでEVに供給し、発電が不安定な時はEVから家庭などに電気を供給するといったリチウムイオン電池を中心とした新しい社会環境を提案している。

日本はトランプ大統領の真似をしてオールドインダストリーにしがみつくのではなく、官民一体となってリチウムイオン電池を基軸としたコンパクトシティを目指すべきである。交通渋滞や交通事故、過疎、高齢社会といった日本社会の病理の根本的な解決の可能性を秘めている。

「サンマ水揚げ 最低」

本日の東京新聞朝刊に、今年の8〜11月のサンマの水揚げ量が、統計の残る1969年以降で最低だったとの報道があった。

サンマは寒海魚(寒海性魚類)にあたり、主に東北地方の以北で水揚げされる。記事でも北海道根室の花咲港、岩手県の大船渡港、宮城県の気仙沼港などの北海道や東北地方の港が挙げられてる。

不漁の原因に中国などの外国船による漁獲量増加に伴う資源量の減少が指摘されている。国際連合条約によって沿岸国には約370kmの排他的経済水域が設けられている。しかし、これはあくまで水域内の水産・鉱物資源の排他的権利を保証するものであって、どこの国の船が通過しても構わない。そこで日本近海で違法操業を行う外国漁船と海上保安庁のいたちごっこが繰り返されている。

あえて今学期の授業の中で、国家の主権の定義に遡って領海と排他的経済水域の違いについて扱いました。北朝鮮のミサイルが日本の排他的経済水域内に着弾することよりも、日本の沿岸での海産物をしっかりと保護することの方がよほど重要である。

日本は海に囲まれた国にも関わらず海産物輸入国となっている。しかし、TPPが実効した今後は、養殖技術と海産物の輸出に力を入れていくことが重要だと考える。

皆さんはどのように考えるでしょう。

「『八幡製鉄所』名称にお別れ」

本日の東京新聞夕刊に,1901年に操業を始めた八幡製鉄所の名称がなくなるとの記事が掲載されていた。ちょうど地理Bの授業で扱ったばっかりだったので,少々びっくりした。

八幡製鉄所は日清戦争の賠償金で建設され,中国から鉄鉱石を輸入したり,背後の筑豊炭田が控えているなどの地の利に恵まれ,第二次世界大戦前には日本の鉄鋼生産量の半分以上を製造する国内随一の製鉄所であった。また,記事にもある通り,2015年には重工業の近代化を成し遂げた「明治日本の産業革命遺産」として,世界遺産にも登録されている。

ちなみに世界遺産は国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)に設けられた委員会で選出され,世界文化遺産と世界自然遺産に大別される。 筑波大学の大学院に世界遺産専攻が設置されているほか,世界遺産検定も実施されているので,気になる人は検索してみよう。

「マドリードで代替開催の案」

本日の東京新聞朝刊に,チリのサンティアゴで予定されていたCOP25が国内のデモによる治安の悪化を受け,急遽旧宗主国のスペインのマドリードで開催されるとの記事が掲載されていた。南米の言語は植民地時代の名残で,人口の半数を占めるブラジルはポルトガル語,その他のほとんどの国がスペイン語というのは地理の常識である。しかし,記事にもある通り,旧宗主国のスペインがまだ政治的影響力を持っているとは知らなかった。貿易についても一応チェックしておきたい。

折を見て生徒にも伝えているが,英語,中国語の次に学んでおきたい言語はスペイン語である。4年制大学に進学する生徒は是非スペイン語に触れてほしい。地理の生徒は1学期にプレゼンを行ったが,不思議と南米の国を取り上げる人は少なかった。それだけ,距離的にも心理的にも遠い国のように感じているのかもしれない。地理Aはもう少しで南米に入るが,何か面白いネタはあるだろうか。アディオス。