大学短大専門学校案内」カテゴリーアーカイブ

パンフレット研究:明海大学

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外国語学部,経済学部,不動産学部,ホスピタリティ・ツーリズム学部の4学部が千葉県浦安市にあり,歯学部が浦安からかなり離れた埼玉県坂戸市にあるという変則的な大学である。文系学部の浦安と理系学部の坂戸では交流は皆無であろう。沿革を読むと,元々,明海大学は,埼玉県坂戸市に「城西歯科大学」として開学し,バブル期の1998年に浦安市に外国語学部,経済学部を設置したのを機に,浦安の地名にちなんだのか,大学名を「明海大学」と変更したそうだ。

知名度は決して高くはないが,在学生6000名弱の中規模大学である。外国語学部と経済学部はいたって普通なのだが,不動産学部とホスピタリティ・ツーリズム学部が目を引く。現在の建設不況の最中,「宅建」取得を看板にした不動産学部は大丈夫なのだろうか。一方で,ホスピタリティ・ツーリズム学部は,客室乗務員専門学校での授業に高度な英語やコンピューター,産学協同講座やインターンシップなどを加えたもので,学部の理念としては分かりやすい。いかつい学部名さえ我慢できれば,専門学校よりは通う価値がありそうだ。

また,サッカーとヨット,空手の3つのクラブが体育会に所属し,全日本レベルの活動を行なっている。しかし文系学部についてはパッとした売りもなく,歯学部や大学病院経営に金が掛かるので,文系学部の学生から金をかき集めているであろう学内事情が伺われる。

パンフレット研究:秀明大学

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秀明大学のパンフレットを読む。
埼玉県川越市や上尾市などで,全寮制による中高一貫教育を実践する秀明学園が,1988年に開学した新しい大学である。総合経営学部,英語情報マネジメント学部,そして全寮制を敷く学校教師学部の3学部からなる。09年4月より新たに観光ビジネス学部の開設が予定されている。
都心から離れた千葉県八千代市にあり,近隣の駅からもスクールバスで15分と極めて不便なところにある。しかし,この学校の大きな特徴は,一部の学部を除いて,1年次の4月から2月までの1年間の英国留学が必修で課せられていることである。料金はかなりかかるが,学生にとっては大きな経験となるであろう。また大学構内に寄宿舎があり,夜間授業も受けることができる。一昔前の大学の自治寮とは雰囲気は大きく異なるであろうが,大学で24時間過ごせるというのは魅力的である。

授業やその他就職支援などは他の郊外型大学と大差ない。総合経営学部に販売士検定やカラーコーディネータ検定の資格取得を目指した販売コミュニケーションコースが設置されていたり,英語情報マネジメント学部にIT資格取得を目的としたITキャリアコースが置かれているなど,学生にとって「分かりやすい」カリキュラム編成となっている。しかし,この大学自体,おそらくはバブル景気と団塊ジュニアの大学入学という大学経営者にとってウハウハの時期に計画されたのであろう。現在では学生募集に相当苦労しているようである。「学生募集要項」の冒頭のページに次のようなくだりが掲載されている。募集要項の冒頭に頭髪・服装の注意を入れざるを得ないほど,意識の低い学生が集まっているのであろう。

本学の学生心得には,よりよき人間形成のために次のような項目があります。

  1. 本学学生は,学問に励むことを本分とし,同時に社会的責任を自覚し,規律ある学生生活を送ること。
  2. 服装・頭髪および態度は質素端正を旨とし,本学学生としての品位を十分に保持すること。例えば,頭髪を染色あるいは脱色したり,見苦しいヘアースタイルにすること,男子学生でピアス等の装飾品を付けることなど,学生としてふさわしくない身だしなみは禁止されています。
  3. 大学構内および路上で喫煙しないこと。

パンフレット研究:貞静学園短期大学

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貞静学園短期大学のパンフレットを読む。
文京区茗荷谷にある貞静学園中学高等学校に併設されている貞静学園保育福祉専門学校から,保育課程が独立し,来年4月より新たに短期大学として生まれ変わる。そのためパンフレットも学校紹介のイメージ写真が並ぶかわいらしいものである。選考方法であるが,一般入試20名に対し,指定校推薦が100名,公募推薦が20名,AOが10名となっている。保育福祉専門学校に介護福祉課程を残し,保育のみを短大に移行させるというのは近年の受験生の動向を考慮するに無難な選択であろう。

パンフレット研究:聖学院大学

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埼玉県上尾市の外れにあるキリスト教の大学である。数年前の夏,司書教諭講習に25日間通った私の第2の母校でもある。当時,バイクで通っていて,構内で突然オイルが噴き出してしまい,バイク屋に引き取りに来てもらってメインジェットを交換したりと思い出も深い。
「面倒見の良い大学。入って伸びる大学。」を宣伝文句としており,徹底した少人数教育を図っている。政治経済学部,人文学部,人間福祉学部の3学部からなり,一学年700名弱のこぢんまりとした学校である。推薦入試もAO入試も倍率は2倍を超えておらず,比較的入りやすいが,全学科できちんと定員は確保されている。母体そのものが少ないこともあるが,昨年の社会福祉士国家試験では合格率では68%で私大1位を取ったとのこと。あまりがつがつせず,品の良いキリスト教系の高校のような雰囲気を醸し出している学校である。

聖学院大学がセンター入試を導入しない理由として,「聖学院大学はキリスト教大学ですので教職員が日曜礼拝を守るという立場から日曜日に入試を行なうことを開学以来してきませんでした。センター試験を導入することは,大学を試験会場として提供するだけでなく教職員が試験監督として働く仕組みとなっていますので,本学のアイデンティティであるキリスト教学校のよき伝統と相反することとなります」と丁寧に述べられている。

パンフレット研究:流通経済大学

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ペリカン便でお馴染みの日本通運が母体となって,1965年に創設された新しい大学である。流通や物流のビジネスの発展を開学の目的の置いており,実学主義・少人数主義の徹底を貫いている。現在では経済学部,社会学部,流通情報学部,法学部,そしてスポーツ健康科学部の5学部からなる中規模総合大学へと変貌を遂げてる。
茨城県の竜ケ崎キャンパスと千葉県にある新松戸キャンパスの2つからキャンパスを選択するシステムになっており,両キャンパスに同じ科目が設置されている。重点部としてサッカー,ラグビー,硬式野球,柔道,剣道,駅伝,アメリカンフットボールなどが指定されており,これらの部に所属する学生は竜ケ崎キャンパスで寮生活を送り,4年間競技に集中できる環境が用意されている。他大学のように法学部や商学部の中にスポーツコースを設けるよりも,スポーツ健康科学部を設置してずばり「アスリート養成」を謳うのはすっきりとして感じが良い。
聞くところによると,ギャルやギャル男といった地元の派手な学生が多いということだ。付属の柏高校からの進学者もほとんどいないようだ。学部再編も含めた思い切った改革が必要であろう。

新松戸キャンパスの紹介ページに「近代的でありながら解放感あふれるモダンなキャンパス」と誤植があった。たった一文字であるが,感性に訴えるパンフレットなので印象は悪い。