大学短大専門学校案内」カテゴリーアーカイブ

パンフレット研究:麻布大学

麻布大学のパンフレットを読む。
神奈川県相模原市にある淵野辺という、いかにも東京圏の外れを思わせる場所にある。麻布高校の系列大学だと思っていたが、全くの無関係だそうだ。
獣医学科と動物応用科学化からなる獣医学部と、臨床検査技術学科、食品生命化学科、環境科学科の3学科からなる生命・環境科学部の2学部と大学院で構成される。やはり麻布大学花形は獣医学科であり、その他の学科や学部は、獣医学部の研究施設なりスタッフがもったいないから作ったような「おまけ感」が否めない。獣医学についてはいまさら述べる必要もないほど定評のあるところであり、施設も大変充実している。一方で同学部の動物応用科学科は動物園のスタッフやドッグトレーナーの養成に重きを置いている。
また生命・環境科学部に至ってはさらにお寒い状況である。食品生命科学科は理念がはっきりしているが、臨床検査技術学科はいまさらといった感じ。環境科学科に至っては「環境スペシャリスト」の養成を謳っているが、それは他の専門性があっての話。環境そのものの専門家というのは、高校生をだまくらかしているようでうさんくさい。

パンフレット研究:東京国際大学

東京国際大学のパンフレットを読む。
埼玉県川越市の外れに位置する霞ヶ関という何やら田舎めいた駅にあり、5学部10学科、5研究科を抱える比較的規模の大きい大学である。情報システム学科を含む商学部、経済学部、英語コミュニケーション学部、国際関係学部、そして、福祉心理学科を擁する人間社会学部の5つの学部で構成されている。特に福祉心理は社会福祉士や精神保健福祉士だけでなく、臨床心理士の資格を目指す道も整っていて環境はよい。さらに大学院は西早稲田にあり、人気も高いのではないだろうか。
比較的新しいキャンパスのためか、施設面でバリアフリーも進んでいるようで、車イスでしか移動できない肢体不自由養護学校の卒業生も受け入れている。
また、米国に東京国際大学アメリカ校を設置し、アメリカ留学プログラムに力を入れている。また、野球場とサッカーグランドをキャンパスからバスで30分の所に新設し、昨年よりプロ野球とJリーグの監督を招聘するなど、生徒募集の目玉作りに力を注いでいる。
おそらくは都心にあれば、武蔵大学や明治学院大学などと同系列の大学として受験生が集まるのであろうが、如何せん川越の外れにあるというのがネックなのであろう。ごちゃごちゃ改革を進めてしまった結果、キレイなキャンパスに少人数ゼミ、就職支援と資格取得講座の充実など、所謂「郊外型大学」と見分けがつか ないてんこ盛りな大学になってしまっている感が否めない。

パンフレット研究:東京女子大学

東京女子大学のパンフレットを読む。
1918年に新渡戸稲造を初代学長として創立され、「キリスト教を基盤としたリベラルアーツ教育」を根幹とした伝統ある女子大である。都心からは少し離れた杉並の閑静なキャンパスが女子大の雰囲気を醸しだしている。
学科紹介がパンフレットの半分以上を占め、特に英語教育に力を入れており、2年次までたっぷりと英語の授業が組まれている。伝統のなせる技か、古くは瀬戸内寂聴や森英恵、竹下景子など数多くの著名人がこの学校を巣立ち、現在でも大手企業やマスコミにも卒業生を毎年数多く輩出している。
09年4月より、2学部10学科を統合・再編し、「現代教養学部」の1学部、4学科、12専攻になり、学校全体での学びの道筋が見えやすくなった。女子大にしては数多くの分野の学科があり、その学びは、文学や史学、哲学などの人文学科、経済や社会、国際関係といった国際社会学科、心理やコミュニケーションの人間科学科、そして女子大では珍しい数学と情報の2専攻を擁する数理科学化の4学科にまたがる。特に数学科は、教育学部ではなく数学を究めたいと考えている女子学生には選択肢の一つに入るであろう。

パンフレット研究:湘南工科大学

湘南工科大学のパンフレットを読む。
「東京」とあっても東京にない大学はたくさんあるが、この湘南工科大学は、大学名に湘南と冠せられている通り、江ノ島が見える、海まで300メートルのまさに湘南に位置する大学である。JR東海道線の辻堂駅から徒歩15分圏内にあり、都心からのアクセスもよい。機械工学科、コンピューターデザイン学科、マテリアル工学科、電機電子工学科、情報工学科、コンピュータ応用学科の工業系6学科からなる単科大学である。全学をあげて「モノづくり」にこだわっており、現場での技術者養成に特化したカリキュラムであり、昨年の就職率は100%であった。
工業高校出身者が多く、授業編成もシンプルである。パンフレットを開くと、湘南の海が近いため、「ヨット」や「サーフィン」といった実習授業がデカデカと宣伝されているが、現場志向の強い大学の姿勢はきちんと伝わってくる。

パンフレット研究:尚美学園大学

尚美学園大学のパンフレットを読む。
専門学校が母体で、1981年に開学した音楽短大が、2000年に改組されて4年制に移行した新しい大学である。音楽表現学科と情報表現学科からなる芸術情報学部と総合政策学科とライフマネジメント学科からなる総合政策学部の2学部と大学院で構成される。「芸術〜」と「総合〜」はそれぞれ上福岡と川越と別のキャンパスにあり交流はあまりないようだ。「音楽表現学科」は定員140人と少人数制を敷いており、専門学校と音大の両方の長所を兼ね備えている。目的意識のハッキリとした生徒にはお勧めであろう。

しかし、それ以外の学科、学部は理念もカリキュラムも迷走している感が否めない。特にライフマネジメント学科のパフォーミング・ビジュアルアートコースに至っては何を学んでいるのかすら定かではない。大学で学びたいこともなく、さりとて専門学校にも食指の湧かない目標意識の薄い生徒に対して、しぶしぶAO入試を勧めるような大学である。