横溝正史『悪魔の手毬歌』を読んだ。
昭和30年代の片田舎の因習が色濃く描出されていた。
投稿者「heavysnow」のアーカイブ
「先行くって、ドキドキ」
『ワープロ・パソコンで書く技術』
安田幸弘『ワープロ・パソコンで書く技術』(日本実業出版社)を読んだ。
マックでもWORDやEGBRIDGEなどワープロソフトがだんだん巨大化していくなかで、使いやすいワープロを選んでいくにはもう一度初期ワープロの機能や使い勝手を考えていく必要がある。一年に一回使うか使わないかの文字飾り機能があふれている現在のワープロソフトよりも、最低限の機能が使いやすいようにレイアウトされたエディターに近いものの方が日常使用するには良い。
『トヨタと日産 自動車社会の闇』
鎌田慧『トヨタと日産 自動車社会の闇』を読んだ。
トヨタの提唱する「カンバン方式」(Just In Time)というのは単に下請け業者にしわ寄せの行く物流の効率化だけでなく、工場と工場を結ぶ道路を整備する行政、そしてそこに働く労働者の徹底した生活管理まで含まれるものであることが分かった。豊田佐吉の名を冠した市名(豊田市・トヨタ町)への変更など地域を経済論理に統括していくこともカンバン方式の狙うところである。部品を組み立てるラインでは「省人化」が徹底され、ロボットの導入も労働者の作業軽減にはつながらず、一秒でもラインの流れを早めていくためのものだという現状が刻々と綴られていた。
労働が単純化、集約化していく中で労働が疎外されていく情況はマルクスの言うところであり、チャップリンの『モダンタイムス』に描かれているところであるが、読み進めていくうちにふつふつと沸いてくる怒りは確かなものである。その怒りを文学的に著したのが黒井千次ではないか。そう思い、黒井氏の『時間』(講談社文芸文庫)に集録されている『聖産業週間』と『穴と空』を読んだ。時間とノルマに縛られ断片化した作業に従事する労働者の崩れていく心理状況が的確に描出されている。『穴と空』は中年サラリーマンが仕事から心理的に逃避し、自宅の地下の穴をがむしゃらに掘り進めていくことで、ぎりぎりの状況に置かれた自分を再確認するという話だ。黒井氏は富士重工業に15年勤務していたので、労働の断片化についての批判的な視座は熟読に値する。
「KSD問題」
最近「KSD問題」なるものがマスコミを賑わしている。
しかし、一体KSDとはどういう団体なのだろうか。数年前に田中邦衛が「KSD! KSD!」と連呼するCMが流れていたが、「中小企業経営者福祉事業団」という名称からはその実態が伺われない。同じ汚職事件でも佐川急便やリクルートは、企業の実態が知られている分だけ分かりやすかったが、今回はものつくり大学という分かりやすい名前の影に事業団の正体が隠れてしまっている。
そういえば、今度の森内閣にウシオ電機会長の牛尾治朗という民間人が経済財政諮問会議に入ったが、このウシオ電気という会社は何者なのか? これまた分かりにくい。

