『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』
森川嘉一郎『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』(幻冬社,2003)を読む。
1980年代までは白物家電やオーディオ機器の販売が中心だった秋葉原が、1990年代に入るとパソコン中心になり、エヴァンゲリオンがブームとなった1990年代の終わりからオタクの聖地となっていった変遷が丁寧に説明されている。
著者は私と同世代で、早稲田大学大学院で建築学を学ばれており、現在は明治大学の国際日本学部で現代日本文化論を研究されている方である。後半は秋葉原論から離れるが、ラジオ会館の店舗構成の移り変わりやオウム真理教と『幻魔大戦』の関係など、興味あるテーマが多かった。
『ミツバチ大量死は警告する』
岡田幹治『ミツバチ大量死は警告する』(集英社新書,2013)を少しだけ読む。
「はじめに」の項で、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』の現代日本版を目指すと述べられているように、農薬によって天然のミツバチが大きく減少し、やがては人間の体内にも蓄積され、発達障害が増加しているとの恐ろしい報告となっている。タイトルにある「ミツバチの大量死」は「ヒトの大量死」の警告ともなっている。
農業に縁遠い私はミツバチの主な利用法は蜂蜜だと思っていたが、1997年の統計によると、蜂蜜など生産物の価値が約72億円なのに対し、受粉の価値は3453億円と、受粉の経済的価値は生産物の50倍近くもあるという事実に驚いた。
本日の東京新聞朝刊より
『大人のための自転車入門』
丹羽隆志・中村博司『大人のための自転車入門』(日本経済出版社,2005)を読む。
タイトルにも大人のためとあるので、中高年の自転車入門者向けに、自転車と健康についての講義の後に、自転車の乗り方や整備の仕方が分かりやすくまとめられている。
特に自転車は膝への負担が少ない運動である。膝の専門家によると、老化や使いすぎで筋肉が弱っているときに、過大な負担をかけて、膝を痛めることが多いという。膝の負担が特に少ない乗り方は、できるだけ軽いギアを使い、サドルを後方にずらして後方よりペダルを前に押し出すような踏み方をするとよい。ビンディングを用いる場合は、深めな設定がよいとのこと。
また、冬になると風邪をひく人が多くなるが、風邪の原因のウイルスの一つにライノウイルスがある。このウイルスは、喉の粘膜に感染し、34度前後の温度で増殖しやすい。
東北大学の永富教授によると、室温20度の部屋で20分間の運動をし、汗をふかず、喉元に何もあてない状態で、「喉とその奥」の温度を測ったところ、10人の平均で約33度まで下がり、元の体温に戻るまで20分以上かかったとのこと。
つまり、運動が終わった後、のどが特に冷えやすいのである。汗を服のはもちろん、喉元をしっかりと温めて、温度と湿度を保っておくことが大事である。だからこそ、冬のサイクリングではフリースとマスクの着用が望ましい。特に手足が冷えやすいので、シューズカバーなども有効である。また、手足は締め付けると血行が悪くなって冷えやすくなるので、注意が必要だ。