朝日新聞「原発問題」取材班『チェルノブイリ・汚染大地:5年目の報告』(朝日新聞社,1990)をパラパラと読む。
1986年のチェルノブイリ事故から5年目となった1990年に朝日新聞で連載された実態報告がまとめられている。チェルノブイリ事故は、原子力発で装置を動かすための電源が停電してしまった場合にも、原子炉を安全に冷やすことができるかどうかを確認するための実験の途中で爆発事故を起こしたことはよく知られている。
本書では、事故は人為的なミスではなく、そもそも原子炉を止めるはずの制御棒の設計にミスがあり、制御棒を挿入することで出力の上昇を招く欠陥品であった点が明らかにされている。また、当時は白ロシアと呼ばれていたベラルーシやウクライナの被曝状況も丁寧に取材されている。