『手にとるように環境問題がわかる本』

三菱UFJリサーチ&コンサルティング 環境・エネルギー部『手にとるように環境問題がわかる本』(かんき出版,2007)をパラパラと読む。
見開きページで片側が文章、もう一方が表やグラフ、イラストといった体裁の本である。写真や取材は一切なく、あちこちの参考文献を分かりやすくまとめ直したもので、読んでいて全く面白くない。

各項の最後は「私たち一人ひとりも、いろいろな環境情報に関心を持ち、自分の意見を発信していくことが大切です」とか「おいしくて安全な水を守るためにも、排水溝へ化学物質や食べ残しを流さないことが大切です」「消費者である私たちは、環境を守るために、企業が生み出す環境配慮製品を選んで購入する努力が必要です」などの文で締め括られ、小論文の雛形のような文章をひたすら読み続けさせられる。

『千石先生の動物ウォッチング』

千石正一『千石先生の動物ウォッチング:ガラパゴスとマダガスカル』(岩波ジュニア新書,2003)をパラパラと読む。
固有種が極めて多い南米エクアドル沖のガラパゴス諸島とアフリカのモザンビークの沖合にあるマダガスカルの動植物観察記である。違いはガラパゴス諸島は火山島であり、一度も大陸と接することがなかった。そのため、全く生物がいない島に、鳥や昆虫がグングンと勢いを伸ばしたのである。また鳥の糞や身体に付着した種や微生物も同様である。しかし、塩分の多い海を越えられない哺乳類や両生類はほとんど生息していない。一方で、マダガスカル島は、かつてインド大陸の一部であった大陸島である。そのため両生類の宝庫となっている。

『冴子の東京物語』

氷室冴子『冴子の東京物語』(集英社,1987)を読む。
「青春と読書」という集英社が出している読書情報誌に掲載されたコラムである。
作者が27、8歳の頃で、日常生活の気づきや友人、家族、旅行など、様々なテーマで話がどんどん逸れていく「長話」が展開される。ちょうど私が中学高校の頃で、大学生や社会人が仕事やサークル、レジャーにはっちゃけていたのを思い出す。地上げやジュリアナ東京などのバブル絶頂期とまではいかないが、80年代後半の良き時代を思い出させるような話が多かった。

Wikipediaで調べたところ、作者は51歳の時に肺癌で夭逝されている。かなりのヘビースモーカーだったようである。気をつけたい。

武蔵嵐山

所用で武蔵嵐山まで出かけた。
全く知らなかったのだが、武蔵嵐山周辺の比企地区は中世に畠山家が治めていた土地で、源頼朝に仕えた畠山重忠の住居跡が残されている。
博物館が隣接されていて、当時の歴史が丁寧に紹介されていた。
ただ、城跡だったら城壁が残っているが、木造の館跡なので何も残っていない。
想像力が必要な場所であった。

『都市と交通』

岡 並木『都市と交通』(岩波新書,1981)を読む。
執筆当時、著者は朝日新聞の編集委員を務めており、退職後は静岡県立大学国際関係学部や武蔵野女子大学文学部教授を歴任し、交通及び比較都市論を専門としている。

人口増加の1980年代前半の話なので、現在とは様相を異にするが、パリやロンドン、ニューヨーク、また福岡などとの比較から、東京の交通網の弱点を指摘している。著者は徒歩や自転車でホールや寄席などの文化施設へ移動できる豊かな都市生活を提案する。人間がバスやタクシーなど使用せずに「抵抗なく歩ける距離」はおおよそ300~400メートルである。そうした距離を勘案して駅や停留所を設けることで、公共交通機関の利便性が向上する。ミニバスや路面電車、自転車の活用など、環境にやさしいコンパクトシティが提言されており、著者の先見の明が伺われる。