『デジタルの仕事がしたい』

杉山知之編『デジタルの仕事がしたい』(2005 岩波ジュニア新書)を読む。
編者の杉山氏はデジタル・ハリウッド大学の学長を務める。おそらくは編者の人脈であろうか、メディアアーティストやWebプロデューサー、映像作家などデジタル関連の仕事に携わる11人が、仕事に対する熱意やあるべき姿について語る。
興味深かったのが、11人全員がゼロイチのデジタルな世界に没頭しているにも関わらず、人脈の大切さ、コミュニケーションの重要性を強調している点である。
一昔前に大ヒットしたメールソフト「ポストペット」を開発した八谷和彦氏は次のように語る。

(デジタルの仕事がしたいと考えている高校生に必要な勉強という質問に対して)
うーん。普通の勉強でいいんじゃないかな。例えば、今みんなは自分がやっている勉強に意味を見いだせていますか? 「微分積分なんて生活の中で使わないから必要ない」とか思ってませんか。
 確かに生活の中では使いません。でも、もしもあなたが、いつか宇宙飛行士になりたい、とか、自分でロケットを設計したい、とか、メーヴェを作ってみたい、とか思っていたら、それはそのときには必要な知識だったりします。
 生活に必要な知識って、実はたいしたことありません。小学生レベルのもので十分です。でも、それは例えば平均台の上を歩いているようなものです。そこから横や斜め前には一歩も踏み出せなくなります。あなたの将来の夢や希望が、そこから大きく飛び出したものであることも十分ありえますよね。そのときになってはじめて勉強を始めるのは、効率的ではないし、きっと時間も取れません。だから、その未来の可能性のためにやっている勉強が、高校の勉強なんです。
……というのを最近思いましたね。

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