『知的創造のヒント』

外山滋比古『知的創造のヒント』(講談社現代新書 1977)を読む。
文章の構成から、今度は着想に関する本を何冊か読もうと思うが、この外山氏の文章はいささか古いせいもあり興味を引くような箇所はなかった。一部日本人論を扱った項があり、そのなかのオリンピックに関する話が興味深かった。当時はモントリオール大会であろうか。世間を重んじる日本人の意識というのは、今回のアテネ大会においてもまだまだ残っているようだ。

オリンピックで日本選手の成績がパッとしないというので、よく強化策が問題になるが、いちばんいけないのは日の丸をもってかけつける応援である。できない相談なのは分かりきっているが、オリンピック選手以外の日本人は行かないように、選手も自分の出場する試合以外のところへは顔をださないようにすれば、選手はリラックスしてもてる力を存分に発揮することができるだろう。なまじ知った人間がいるために、知らなくても日本人の応援があるために、勝たなくてはと固くなって逆に負けてしまう。日本人にはこの「手前」の思惑がことにいけないようだ。

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