『重力の達人:橋、トンネル、くらしと土木技術』

夏の11冊目
田中輝彦『重力の達人:橋、トンネル、くらしと土木技術』(岩波ジュニア新書 1998)を読む。
技術論に始まり、確認の実験、文明論、社会批評、果ては歴史文献や小説の引用まで話しが多岐に及び、少々読みにくい内容であるが、著者の土木技術にかける思いがその分だけ伝わってくる。
前半は重力の断面係数や膨張、慣性の法則といった基本的な物理の理論を紹介し、後半はそうした理論を応用した橋やダム、港などの土木技術の粋を分かりやすく解説する。そして、土木技術こそが文明社会を形成してきたし、これからも自然災害から都市を守るために、社会資本を投入し公共施設を建設する意義を熱く語る。
著者は執筆当時鹿島建設の社員であり、鹿島建設が受注した関西国際空港や明石海峡大橋、浜名大橋などに盛り込まれた技術が素晴らしいと自賛してしまうのはご愛嬌か。

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