本日の東京新聞朝刊に、森林ボランティアのあり方について、森づくりフォーラムの代表理事を務める哲学者の内山節さんへのインタビュー記事が掲載されていた。内山氏は群馬県上野村で実際に生活する中で人間にとって住みよい環境、コミュニティのあり方を提唱している生きた哲学者である。この記事の中で内山氏は次のように述べている。
森林の仕事は、木の切り方にしてもマニュアルはあるが、木の一本一本、曲がり具合などを見て、どう倒れるか、判断して切らなくてはいけない。さらに下の地形も考える必要がある。判断を間違えると倒れる木の下敷きになりかねない。思った以上に考える余地が大きい。また、体で覚えることも大事だ。会社のオフィスワークではあまりなかった体の感覚で仕事をする。それは人間性の回復にとても重要なことと思う。
(中略)
少し抽象的だが、森の時間で責任を持てるかどうか。木の生育を考えれば、50年、100年単位で考えなければいけない。森を守る仕事を次の世代に引き継いでいく。幸い、若い世代の森林ボランティアグループも増えてきている。世代の異なるグループが協力して一つの森を守る活動もあっていい。もう一つは、『森の荒廃』といっても、参加者の意識も多様化している。森に生物種の多様性を求める人もいれば、水源涵養や環境保全、林業的価値を求める人もいる。これからの森をどうつくっていくか、皆で考えていくべき課題だ。