石丸次郎『北朝鮮難民』(講談社現代新書 2002)を読む。
ここしばらく北朝鮮のミサイル報道が喧しい。テレビを見る限り、金正日率いる悪の帝國軍が国家を挙げて戦争準備態勢に邁進しているといったガンダムアニメ的な印象すら受ける。実際の北朝鮮の現状が知りたいと思い手に取ってみた。
本書では、北朝鮮と中国との国境付近で長期間かけた定点取材の模様が丁寧に記されている。中国側の国境付近には朝鮮人自治区があり、北朝鮮と中国の間で人や物、金が大規模にやりとりされている現実が理解できた。また、第二次大戦後、総連の宣伝に騙され、日本から北朝鮮へ帰国していったが、結局は北朝鮮で受け入れられず、貧困生活を強いられ、その子どもや孫たちが中国へ脱出し、日本への帰国のチャンスを待っているという家族の話も紹介されていた。こういった家族は日本政府の邦人保護の責任のもと、柔軟な受け入れ体制を作ることができないものだろうか。
『北朝鮮難民』
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