『理科年表読本 気象と気候』

夏休み7冊目

高橋浩一郎・宮沢清治『理科年表読本 気象と気候』(丸善,1980)を読む。
国立天文台が毎年編纂する「理科年表」の解説本となっている。紀元前からの天文学に始まり、地球の大気や気候、雲、雨、雪、風などのしくみについて分かりやすく解説されている。

参考になったところを抜書きしておきたい。
熱帯と温帯の境目である月の平均気温が18℃は、人間の活動にもっとも適当な気温である。東京でいうと5月中旬くらいの気温(最高気温23℃、最低気温14℃)の過ごしやすい時期である。10℃は樹木が育つか否かの境の気温で、昆虫なども10℃より低いとほとんど活動できなくなる。東京で言うと3月中旬ないし11月末ごろ。−3℃は根雪になるかならないかの境の気温。

季節風は英語ではモンスーン(monsoon)と呼ばれ、アラビア語の季節を意味するマウシム(mausim)から出たと言われている。季節風は中緯度では、大陸と海洋との温度差が大きな原因となるが、ヒマラヤ山脈など東西に伸びる大きな山脈があると、冬シベリアに放射でできた寒気は低緯度に流れ出さず、強い高気圧となる。一方、アメリカ大陸はロッキー山脈のような南北に走る高い山脈はあるが、東西に伸びるものはないので、寒気はすぐに低緯度に流れ出し、強い高気圧はできない。

日本の年間雷雨日数が最も多いのは、石川・富山県と宮崎県えびの高原の40日で、ついで関東北部、美濃三河高原、琵琶湖北側、鈴鹿山脈、大分県日田地方の35日である。雷の発生はふつう初夏から盛夏にかけて多いが、日本海側では、シベリアから北西季節風が吹き付けるとき、積雲や積乱雲が発生するため、冬に多くなる。