本日の東京新聞朝刊に、アフガニスタンのタリバン政権と中国企業の間で油田開発契約の話が進んでいるとの記事が掲載されていた。ネットで調べたところ、10年ほど前から中国企業が開発に動いていたとのことである。
アフガニスタンは昨夏米軍が撤退してから、混乱に拍車がかかっている国である。失業率は50%近くあり、一人あたりのGDP(2021年)は370ドルほどである。もちろんアジアの中では最低で、世界でも南スーダンやブルンジと同じ最下位に位置する。3890万人の人口のうち、1840万人に緊急の人道支援が必要な状態である。農業も工業も不振で、輸出品目の第1位がドライフルーツ、第2位が薬草となっている。いくら金銭的な支援を行ってもアフガニスタンを救うことはできない。
そうした中で、今回の記事はアフガニスタンにとっては渡りに船である。油田開発は中国企業が一手に担うため、アフガニスタンの雇用に繋がらないとか、資源外交はタリバン政権の懐を潤すだけで庶民は切り捨てられたままなどの不安は残るが、国全体としての経済を下支えしてことにはなるであろう。
しかし、なぜ中国が積極的にアフガニスタンに関わるのであろうか。
アフガニスタンはアルプス・ヒマラヤ新期造山帯にあるため、原油や天然ガスが眠っていると推定できる。2010年の報告によると、原油・天然ガスだけでなく、ウラン、ボーキサイト、石炭に加え、クロムなどのレアアースを含め、1兆米ドルの鉱物埋蔵量があるとのことである。しかし、実際の信憑性について疑問の声もある。鼻息荒く「取らぬ狸の皮算用」を弾いても、「大山鳴動して鼠一匹」となりかねない。
記事にもある通り、中国はアフガニスタンの資源以上に、インドに対抗して「一帯一路経済圏」を進める上で、アフガニスタンやパキスタン、イランを通る貿易ルートの確立が欠かせない。地図で確認すれば分かるが、中国からアフリカへの最短ルートとなる。中国マネーの借款で苦しむスリランカやラオス、モンテネグロの二の舞にされてしまうのであろうか。