『狂言を楽しむ』

小林責『狂言を楽しむ』(平凡社カラー新書 1976)を読む。
狂言というと庶民が楽しむものであり、同じ能楽堂を共有する能よりも一段下に位置付けられがちである。著者は能と狂言の違いについて次のように説明している。

非常に性格の違う兄弟で、狂言が兄、能が弟。そして、協力して能楽という一家を支えているのです。

つまり、能と狂言は対等な芸術であり、悲劇の能に対し、喜劇の狂言で表裏一体のものだと述べている。