浅井建爾『知らなかった!驚いた!日本全国「県境」の謎』(実業之日本社 2007)を読む。
ここしばらく、高知や北海道といった地方を舞台にした映画を観ており、本棚からふと取り出して手に取ってみた。タイトルの通り、47都道府県の成立とその境界線にまつわる雑学である。
一般には、明治政府による「廃藩置県」によって、それ以前の藩が全て廃止されて、すぐに47都道府県に移行したと考えられがちである。しかし、旧藩以来の地的人的な結びつきは強く、明治政府も一度は3府41県を成立させ、その後、3府302県、3府72県という変遷を辿っている。そのため帰属する県が数度も替わった地域や、奇妙な県境や飛び地などが今もって残されている。また江戸時代に未策定のまま残された国境は、そのまま県境未定地となり、その広さは日本の国土の4%にも達するという。
戊辰戦争や西南戦争で幕府軍に与したか、政府軍に与したかで県境の策定が意図的に組まれた逸話や、横浜市神奈川区や神戸市兵庫区のような県と市の逆転現象、富士山や無人島などの帰属を巡るこぼれ話など、マニアな私の好奇心をくすぐる内容であった。