6月24日から26日の東京新聞の朝刊社会面に、新聞記者が受け継ぐ戦争と題して、記者佐藤直子さんの署名入りの記事が掲載された。元読谷村議で、現在は真宗大谷派の僧侶となった知花昌一さんの生きざまを丁寧に追っている。東京新聞の良心を感じるような記事である。
知花さんは、1987年の国体で日の丸を燃やし、1995年には「象のオリ」の土地奪還闘争の先頭に立ち、今もなお闘いをやめない人である。その知花昌一さんの考え方や生き方を通して、戦後の沖縄の立場や歴史が丁寧に説明されている。
知花氏は、沖縄の闘争を通じて、「この世で一番の差別」である「ハンセン病」の実態を知り、その後、「怒り」を新たな生き方へと繋げていくために「浄土真宗」に傾倒していく。
知花氏の運動は、1972年までの本土復帰運動が原点になっている。しかし「核も基地もない沖縄」は実現しなかった。知花氏は、日本国憲法に保証された平和と、基本的人権と表現の自由がある、真の沖縄を求めて闘いを続けてきた。語弊をはばからずに言うと、本土を視点にすると「左翼」であるが、沖縄を視点にすると「右翼」である。日本政府さえも、米軍さえも恐れず、「怒り」をぶつけていく「特攻右翼」と表現してよいかもしれない。
僧侶になってからは、「突き進むだけでなく、ときには立ち止まって。一人になって考えるんですよ」とも述べている。そして、彼は最後に次のように述べる。
僕はね、日本の政治はどうしようもないけど、民衆には幻滅してなかったさ。忙しくて社会の問題に目を向ける余裕がないと思ってた東京の人が立ち上がった。これはすごい。