『乳と卵』

第138回芥川賞受賞作、川上未映子『乳と卵』(文春文庫 2010)を読む。
「文學界」2007年12月号に掲載された作品であり、同2008年3月号に掲載された『あなたたちの恋愛は瀕死』も収録されている。

なかなか男性には分かりにくいテーマであった。豊胸手術に臨む母と、初潮の時期が近づく娘との微妙なすれ違いが描かれる。お乳をあげたことで凹んでしまった胸を悲しむ母を見ることで、娘は自分の生を否定されたと感じる。そして、そうした母に近づいていく象徴としての初潮を嫌悪してしまう。最後は母子共々、卵子のメタファーでもある玉子をぶつけ合う印象的なシーンで締めくくられる。

ビール片手に読んだためか、主人公の繊細な身体感覚に共感することができなかった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください