『狼に育てられた子』

J.A.L.シング『狼に育てられた子:カマラとアマラの養育日記』(福村出版 1977)を3分の2ほど読む。
教育心理学の授業や教職課程の教科書で、人間の言語習得の臨界期や人間の可塑性の項目で必ずと言っていいほど挙げられる資料である。ちょうど100年前のインドで、狼のほら穴から発見され孤児院に引き取られた推定8歳のアマラと推定1歳半のカマラの養育(観察)日記となっている。シング夫妻の人間として育てようとする献身的な思いがよく伝わってくる。
しかし、ネット上で検索すると、この逸話はシング牧師による創作が多いようで、狼に育てられたという点については否定的意見が大半を占めている。確かに犬歯が異様に発達しているとか、暗闇の中で目が青いぎらぎら輝き出すとか、興奮すると耳の色が変わるとか、信ぴょう性に欠ける記述が気になった。

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