自然地理学 第2課題

昨日のレポート結果を反省し、今度は科目の教科書をなぞりながら、具体例については新書を何冊か調べて書いた。

「海岸の管理」
 海岸の管理は複雑で困難なものである。海岸侵食の影響を軽減するために,広く様々な手段が講じられたにも関わらず,氾濫と崖崩れがほぼ定期的に繰り返され,地球温暖化による海水準の上昇の脅威が一層現実的な問題となってきており,新しい管理の方法に対する関心が高まってきている。海岸の管理の方法には構造的なものと非構造的なものがある。
 構造的方法には,波のエネルギーを吸収したり押し戻したりすることによって,崖の基部を保護する防波堤や護岸,消波ブロック,また,沿岸漂流の速度を減少させることによって,小石を捕捉し安定させる海岸突堤などがある。残念ながら東日本大震災ではこれらの防潮堤の効用に疑問が投げかけられている。
 非構造的方法には,浚渫や斜面をなだらかにすること,植生の回復による養浜,崖の安定化が挙げられる。
 日本では,東日本大震災を受け,「海岸法」を改正し,「津波,高潮等に対する防災・減災対策を推進」するための「減災機能を有する海岸保全施設」として,堤防や樹林の整備を進めている。近年,養浜は防災だけでなく,京都・天橋立の砂州や海水浴場の整備など観光客の誘致を目的として行われている。
 また,上記の積極的な管理方法に加え,海岸からの撤退や何もしないといった消極的な方向も模索されている。東日本大震災の津波被害を受けた沿岸地区では,集落全体で高台に移転するところもある。また,侵食や津波などは自然の摂理だから,あれこれ手を焼いても仕方がないという考え方も一部に根強い。

「北Africaの砂漠化現象への取り組み」
 北Africaの北緯15~35度の中緯度亜熱帯に広がるサハラ砂漠周辺地域で,1970年代中ごろから干魃が発生し,砂漠化が進行している。その原因として,雨季が短くなり年間降水量が減少した自然的原因と,作付け地の拡大や,過放牧,燃料の薪炭材を確保するための森林破壊といった人為的原因があげられる。
 北Africaでは,Foggaraと呼ばれる地下水路で農業用水を引き灌漑して農業を行っている地域もみられる。しかし,灌漑水には濃度1%ほどの塩類が含まれており,灌漑水を引けば引くほど地表に集積してしまう。たくさんの水を流して地表への集積を避けるベージン灌漑という農法もあるが,結局は下流の地下水の塩濃度を高くしたり,河川の水質を悪化させたりしてしまう。現在乾燥地の灌漑農業の1/3ほどが塩類の集積により砂漠化している。灌漑農地を作り出すには,多大な労力と費用が必要だが,毎年新しく生まれる灌漑農地とほぼ同じ広さの農地が砂漠化で失われている。
乾燥地でこれまでと同じように人口が増え続けると今後ますます食糧増産が迫られる,砂漠を食糧生産地や居住地に転換していく対策が求められている。
 砂漠化の拡大を防ぐ即効対策として,風による流砂を物理的にとめる方法がある。Moroccoでは,ヤシの葉の囲いが風によって運ばれる砂の量を減らすのに利用されてきた。また道路の傾斜を工夫することで砂の堆積を防ぐ方法もとられている。また,Algeriaでは温暖な地中海性気候を活用し,現地で「緑のダム」と呼ばれる防砂林を整備している。わずかな水でも生育し,地力の回復に役立つマメ科のアルファルファやユーカリ,松などの植林が国家事業として進められた。Tunisiaでは伝統的なオアシス農法を改良し,石造りのダムを活用したヤシやイチジク,オリーブなどが栽培されている。Egyptではでんぷんにポリアクリルという物質を重合させた保水剤が活用されている。保水剤は自重の500~1000倍の水を吸うので,作物の生育にちょうどいい水環境を作ることができる。収穫が3割増加したとの報告もある。

「Heath LandのEcosystem」
 Heath Landはツツジ科の常緑小低木が繁茂する荒地のことであり,樹木や背の高い薮がなく,地表近くにスゲやシダ類,地衣類が自生するのが特徴である。気候的には亜寒帯に属し,Englandの高地や北海道などが該当する。また土壌は,寒冷地で有機物の分解が進まず,水分は下方へ移動するため,化学成分が溶脱し,土壌は漂白され強酸性土のPodsolとなる。また,大型の動物がいないことで,豊富な土壌の有機物や落葉についた真菌類を餌とするヤスデなどの無脊椎動物が多く生息している。
このHeath Landは羊と雷鳥が食べる牧草として最適なものであり,山焼きによって管理されている。山焼きは地上の植生の大部分を消失させてしまうが,30%程の窒素と他の栄養分が灰として堆積される。15年ごとに行うことで,羊が食べるブルーベリーなどのツツジ科植物やワラビなどの新芽が出る時期と重なり,Heath Land全体の生態系が維持される。

〈参考文献〉
吉川賢『砂漠化防止への挑戦』中公新書1998
『新編地理資料』東京法令出版2012

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