「地方の時代」

東京新聞(2001.01.04/05)に田中康夫長野県知事と福田明夫栃木県知事、北川正恭三重県知事の「地方の時代」と称した紙上座談会を読んだ。
その中で田中康夫が提唱する「公共事業から造林業へのシフト」という分かりやすい政策が気に入った。「しなやかな県政」のスローガンにはがっくりきたが、「樹木を売ってナンボの営林という概念ではなく、損して得する造林への発想の転換に、公共事業の在り方を問いただす一つのヒントがある」とし「『公共事業』という言葉を、そこに従事する人々も胸を張って語れるようにせねばならない」という田中氏の発言は非常に分かりやすい。
今問われている社会民主主義の目指す方向を分かりやすく提示している。その実効がどうであれ、「○○反対!」「××粉砕!」のスローガンをただ繰り返すだけのオウムではない言葉を見つけていこう。

「県知事」
おれは小さな包とこうもり傘とを持つて乗りこんだ
そのとき見たこともないたくさんの人間が歩廊にいた
汽車が動きだすとそれらがいつせいにお辞儀をした
官吏や商人や芸者たち
その視線の落ち着くところをたどると
一人の五十男が家族に囲まれて立つていた。
あれが誰だときくと
あれは転任する県知事だとわかつた
そしておれは県知事というものを理解した
(中野重治)

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