池上彰『「見えざる手」が経済を動かす』(筑摩書房 2008)を読む。
先日読んだ細野真宏さんの本より歴と分かりやすかった。アダムスミスの「見えざる手」である「市場原理」が、基本的に社会を良い方向に変えてきたという論点に立っている。東ドイツの経済の停滞や国鉄、郵便業務、電電公社などの改革が、国民に利便性をもたらした背景について分かりやすく説明されている。一方で、アメリカの医療保険制度や日本のタクシー業界など、新自由主義の行き過ぎが社会に混乱をもたらした点についても丁寧に触れられている。
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「難民認定問題 課題探る」
『経済のニュースがよくわかる本〈日本経済編〉』
細野真宏『カリスマ受験講師細野真宏の経済のニュースがよくわかる本〈日本経済編〉』(小学館 2003)を半分ほど読む。
言わずと知れた経済本で、日本初のミリオンセラーとなり、ビジネス書のベストセラーランキングで「123週ベスト10入り」を果たした売れに売れまくった本である。イラストやシンプルな疑問に答えていく形式なので、スイスイと問題の本質が頭に入ってくる。ただし、大文字の「経済」に興味がないので、後半は読み飛ばした。
『敬語はこわくない』
井上史雄『敬語はこわくない』(講談社現代新書 1999)を手に取ってみた。
必要以上に接頭語の「お」を付けて丁寧な言い回しにしたり、謙譲語が尊敬として用いられたり、「〜せていただく」という使役と謙譲が混ざった表現が普及した背景について、丁寧に説明されている。ただ、読む体力と気力がなく、パラパラっと読んだだけであった。
『東京23区教育格差』
昼間たかし、鈴木士郎『東京23区教育格差』(マイクロマガジン社 2016)を読む。
主に小中学校の学力テストや私立中学校、難関高校への進学実績などをもとに、東京絵23区や田園都市線沿線、中央線沿線の教育事情について、主観を交えて奔放に語る。特に親の年収や親の学歴が如実に子どもの学力に反映されるというデータは興味深かった。そして親世代の年収・学歴によって住むエリアが偏在するため、同じ区内においても、地域や利用する沿線で学力差が生じるということを丁寧に説明している。
ただし、総じて気軽に読めるネットニュースのような内容で、人口急増で教育が行き届いていない江東区や競争を煽りすぎて失敗した品川区、意外に教育環境の良い練馬区や江戸川区など、区のイメージとは異なる学校事情を知ることができた。