福田和也『ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法』(PHP研究所 2001)を読む。
タイトル通り、著者が独自に編み出した読むコツや書くコツ、スケジュール管理などが紹介されている。特に、本を早く深く読む工夫として、気になったところや引用しようと思ったところのページを折っていくというところが興味深かった。この20年近く私が実践している方法と全く同じである。
また、雑誌やネットなど情報が溢れている中で、あえて現場に行くという点も参考になった。著者は本を書く際に対象の人物に関わりのある場所を尋ねることについて次のように述べる。ネット社会の現在だからこそ、大切にしたいことである。
現場に行く、ということはありあまる情報を、具体的かつ生き生きと読むための手続なのです。現場の雰囲気に触れることで、自分の枠を脱して、相手に思いをはせることができる。
(中略)私のいいたいのは、溢れかえる情報を、ただ整理するのではなく、自分なりに読み、消化し、それを表現するためには取材というプロセスが必要だ、ということです。そうすることによって、ただの情報が生き生きとしたものとして自分に迫ってくる。
だからこそ、取材とは読む筋道をつくるため、というのです。