月別アーカイブ: 2021年11月

『社会福祉士・精神保健福祉士になるには』

田中英樹・菱沼幹男『社会福祉士・精神保健福祉士になるには』(ペリカン社 2011)をパラパラと読む。
1999年に刊行された旧版から内容を一新し、2009年以降の新しい試験制度や地域包括支援センターも紹介されている。旧版は、私もスクーリングで受講したことのある日本社会事業大学の大橋謙策氏が担当されていた。この新版では、大橋先生の教え子たちが高校生向けに分かりやすく福祉の仕事について説明している。

「脱石炭 46カ国・地域合意 日米中印は不参加」

本日の東京新聞朝刊より。
国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議で、石炭火力発電の段階的廃止や新規に建設しないことで、先進国では2030年代に、世界全体では2040年代に廃止することで合意したということだ。COP26には100カ国以上の国・地域が参加しており、全体でどれくらいの賛同を集めたのかは不明だが、「石炭火力発電が地球の気温上昇の最大要因」だとのメッセージはしっかりと受け止めたい。

石炭は主に古生代の植物が地中深くに埋没し、地熱や地圧を受けて生成した有機物である。古期造山帯で多く産出されるが、それ以外の地域からも産出し、開発途上国の電力エネルギーを支えている。しかし、石炭は植物由来のため、燃焼すると二酸化炭素だけでなく、大気汚染の原因となる窒素酸化物や硫黄酸化物が必ず排出される。

日本では現在も火力発電所の建設が進んでおり、昨年2020年の6月にも広島県竹原市で世界最高水準の高効率な火力発電所が運転を開始している。日本がなぜ石炭にこだわるかというと、石炭はオーストラリアから安価で安定して輸入できるのに対し、原子力発電は国内世論の批判に晒され、また天然ガスは輸入ルートが不透明であるためだ。

太陽光や地熱、水力、バイオマスなどの再生可能エネルギーの技術開発、それらの普及に向けた国家戦略に異論はない。欧州の先進国は、安定陸塊で地震が全くないので、原発への依存度も高く、天然ガスの供給ルートが安定しているため、容易に脱原発を宣言できる。しかし、アフリカや中米の国はまだまだ石炭に頼らざるを得ないのが現状である。

地球温暖化に逆行するという意見もあるが、私は、今回の脱石炭の合意に加わることができない開発途上国向けに、日本の高効率な石炭火力発電の技術を活用し、非効率な石炭火力発電所をリプレイスするべきだと考える。地球温暖化対策は先進国を中心に議論されているが、貧困に喘ぐアフリカや中米諸国では安定したエネルギーが不可欠である。21世紀半ばを目処に、開発途上国の経済発展を支えるという目的に限って、石炭火力発電の研究を進めていくことが必要である。

「ロシア・ベラルーシ統合加速」

本日の東京新聞に、ロシアのプーチン大統領とベラルーシのルカシェンコ大統領の間で、両国の経済や軍事面の統合を加速させる合意ができたとの記事が掲載されていた。
ベラルーシといってもピンと来ない生徒が大半であろう。両国ともロシア正教会であり、ベラルーシ語はロシア語の方言ようなもので、文字も文法体系もほぼ同じである。また両国とも独裁的な大統領が長期にわたって権勢を保っている。

ベラルーシとロシアが統合したとしても何ら異論はないが、ウクライナ情勢に及ぼす影響が大きく、反ロシア感情が強いウクライナが危機感を募らせるであろう。ウクライナを守る上では、ベラルーシの統合は地政学的なバランスを崩す要因となろう。

「AIが果樹農家 お助け」

本日の東京新聞朝刊に、スマホのアプリやAIを活用したスマート農業の実例が紹介されていた。農薬の投入や収穫時期の見極めが難しい野菜や果樹栽培などで、豊富なデータを活用した効率的な収穫を目指すという実験である。こうしたスマート農業はオランダが世界の最先端を行っているが、日本の技術もなかなかのものである。

これからの農業は、土や虫、肥料といったアナログなものから、リモートでデータを活用したデジタルなものへと移行していくのであろう。さあ、皆さんこの時流をどう考えますか。

『大和の塔』

毎日新聞奈良支局編『大和の塔』(創元社 1973)をパラパラと読む。
古都奈良にある塔といっても、興福寺や法隆寺の五重塔や薬師寺の東塔のような有名なものはわずかで、大半が石塔の紹介である。石塔(仏塔)の起源は古代インドに遡り、釈迦の遺骨を象徴する仏舎利を収めた墳墓を作り、その上に墓標を立てたのがはじまりとされる。これがインド語のストゥーパで、中国で「卒塔婆」と音訳され、塔婆となり、さらに塔と簡略化されたという。こうした言葉は「積み重ねる」という意味に使われ、墳墓の標識となるものを、いくつも「積み重ねた」訳だわけだ。
石塔の紹介がこれでもかと続くので、、眺めるのも飽きてしまった