石田衣良『シューカツ!』(文藝春秋 2008)を読む。
90年代後半から00年代前半の就職氷河期が終わりを告げ,リーマンショック前の好調であった就職戦線を舞台に,大学生の就活と青春を描く。
高田馬場にあるW大学に在籍する7人の学生がテレビ局や出版社を受験する中で成長していく”ビルドゥングスロマン”となっている。
最初はつまらなくて読むのを止めようと思ったが,ついつい主人公に肩入れしながら最後まで一気に読み進めた。最後のページまで結論が分からず,著者の筆力に脱帽である。
途中,主人公の千晴と同じW大学出身で,就職氷河期に卒業したバイト先の同僚が登場する。非正規の立場に自己否定と嫌悪感と顕にする同僚の姿が印象に残った。