日別アーカイブ: 2019年7月8日

「独政治家殺害 極右の影」

本日の東京新聞夕刊に,難民受け入れを積極的に進めてきたメルケル首相の与党CDUに所属する地方政治家が,反難民移民を掲げる極右組織で活動していた男に殺害されたとの記事が掲載されていた。他にも難民受け入れ関わる政治家への脅迫もあり,ドイツ国内で公人を標的とした刑事事件のうち約4割が右翼的な動機によるものだという。

難民・移民の問題は,シリア内戦が落ち着いた後も増加することは間違いない。肝心なことは,難民・移民の理由や出身国の如何ではなく,その国の政治や行政,司法,社会,教育における異文化理解の寛容さである。机上の異文化理解や試験・出世のための国際コミュニケーション力ではない。日常生活のなかで自分の価値判断にこだわったりおしつけたりせず,多様な考えや価値観と共存していくバランス感覚が大切である。

だからこそ,学校生活の中で自分の個性をしっかりと磨く努力と,他人の意見や考えをじっくり聞く(鵜呑みするのではない)ことができる我慢強さの両面を涵養していかなくてはならない。移民・難民問題を第一義的に捉えるべきは学校である。

話は変わりますが,期末考査でドイツの位置関係を尋ねる出題をしました。ドイツはヨーロッパの中心にあり,9つの国と国境を接します。9つすべて挙げることができますか。

「旧陸軍毒ガス詳報 確認」

本日の東京新聞朝刊に,日中戦争で日本陸軍が毒ガス兵器を使用した証拠が見つかったという記事が掲載されていた。
記事によると1939年の7月に首都北京のある河北省の西にある山西省で毒ガスを使ったとのこと。しかし,これまではっきりとした証拠(証言はたくさんありますが)が見つかっていなかったので,教科書でも陸軍が毒ガスを使用したとはっきりとは明言していません。

1939年7月というと,日中戦争が始まる盧溝橋事件からちょうど2年後にあたり,細菌兵器が使用されたノモンハン事件と時期が重なっています。陸軍の毒ガス兵器開発は満州に拠点がおかれた関東軍防疫給水部本部,通称731部隊と呼ばれた秘密組織の管轄にありました。

話は飛びますが,先日東京・武蔵村山市の国立感染症研究所で,アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱など5種類の危険性の高いウイルスを輸入し研究分析するとの発表がありました。地元住民の説明会でも市民から病原菌が漏出してしまう危険が指摘されましたが,ウガンダやコンゴ民主共和国の人たちの命を救う成果を期待したい。この国立感染症研究所はかつて,国立予防衛生研究所と呼ばれており,731部隊の人脈が受け継がれている組織です。

科学(化学)技術は否応なく正と負の両面を持ち合わせています。ここ数日,米国・欧州に対抗して,イランが原発の材料であるウランを基準を超えて濃縮させています。原子力発電と原子爆弾は同じ技術の延長線上にあります。国民生活の安定をもたらす原発と国民生活を破壊する原爆はヤヌスの鏡です。
現在の国立感染研究所は厚生労働省管轄の全く疑いのない国の組織です。しかし,エボラ出血熱のワクチン研究と細菌兵器開発が同じ線上にあるという事実だけは心のどこかに留めておきたい。