本日の東京新聞夕刊から。
ちょうど2週間前の日本史演習の期末考査で,韓国内の徴用工裁判判決を巡って,日本側が輸出規制を検討しているとのニュースを元にした出題をしました。覚えているでしょうか。その時点から話は大きく進展していき,見出しにある「日本経済に被害」と,報復合戦の様相を呈してきました。
テレビのニュース映像を見る限り,今回は日本政府側の汚点が目立ちます。領土や武力衝突などを巡って政治的に激しく対立しようと,貿易や文化交流,庶民の往来は保障し,決定的な衝突を避けるのが外交の基本である。日韓だけでなく,日中,米中,台中関係もそのような大人の配慮で動いてきた。政治的な主張を経済的な圧力で実現しようとするのは,欲しい物やこだわりがある時に,駄々をこねて欲求をゴリ押ししようとする子どもの論理である。
米大統領トランプ流のB級外交を真似たのか,参議院選挙で益荒男ぶりな外交姿勢をアピールしたいのか,政府の意図はよく分からない。しかし,両国にとってウィンウィンな経済の発展という共通の利害関係を疎かにしてしまうと,ある意味コップの中の嵐に過ぎない政治家同士の衝突が,退っ引きならない国民同士の軋轢となって跳ね返ってきてしまう。こういった外交のイロハは儒家の論語や,司馬遷の史記,十八史略などでも寓話を交えて繰り返し語られていることである。
やはり,今回の話は,1965年の日韓基本条約締結の背景や歴史的流れを押さえておかないと,浅薄な理解に留まってしまう。2学期に自信を持って教えられるように,この夏休みしっかり勉強します!