本日の東京新聞朝刊に,日中戦争で日本陸軍が毒ガス兵器を使用した証拠が見つかったという記事が掲載されていた。
記事によると1939年の7月に首都北京のある河北省の西にある山西省で毒ガスを使ったとのこと。しかし,これまではっきりとした証拠(証言はたくさんありますが)が見つかっていなかったので,教科書でも陸軍が毒ガスを使用したとはっきりとは明言していません。
1939年7月というと,日中戦争が始まる盧溝橋事件からちょうど2年後にあたり,細菌兵器が使用されたノモンハン事件と時期が重なっています。陸軍の毒ガス兵器開発は満州に拠点がおかれた関東軍防疫給水部本部,通称731部隊と呼ばれた秘密組織の管轄にありました。
話は飛びますが,先日東京・武蔵村山市の国立感染症研究所で,アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱など5種類の危険性の高いウイルスを輸入し研究分析するとの発表がありました。地元住民の説明会でも市民から病原菌が漏出してしまう危険が指摘されましたが,ウガンダやコンゴ民主共和国の人たちの命を救う成果を期待したい。この国立感染症研究所はかつて,国立予防衛生研究所と呼ばれており,731部隊の人脈が受け継がれている組織です。
科学(化学)技術は否応なく正と負の両面を持ち合わせています。ここ数日,米国・欧州に対抗して,イランが原発の材料であるウランを基準を超えて濃縮させています。原子力発電と原子爆弾は同じ技術の延長線上にあります。国民生活の安定をもたらす原発と国民生活を破壊する原爆はヤヌスの鏡です。
現在の国立感染研究所は厚生労働省管轄の全く疑いのない国の組織です。しかし,エボラ出血熱のワクチン研究と細菌兵器開発が同じ線上にあるという事実だけは心のどこかに留めておきたい。